【為替】米ドル円の見通し、FX各社などの最新予測まとめ(9月第2号)

前回の記事(https://www.coindeskjapan.com/121151/)に引き続き、本記事では以下5社の金融機関およびシンクタンクの為替相場見通しをまとめる。

  • 三井住友信託銀行
  • 三菱UFJ国際投信
  • 岡三アセットマネジメント
  • 三菱UFJ銀行
  • 信金中央金庫地域・中小企業研究所
    ※発表が早い順

なお、各社の予想は執筆時期が異なる点(公表は2021年8月30日~9月3日)、また将来の値動きについて保証するものではない点に留意してほしい。

三井住友信託、9月ドル円の底堅い展開を予想

三井住友信託銀行は8月30日、「Forex Monthly(9月為替相場展望)」において為替相場を以下のように予想した。

三井住友信託 為替相場見通し

 2021年9月
米ドル円108.5─111.5
ユーロ円126.0─132.0
ユーロ米ドル1.150─1.195

9月「米ドル/円」は底堅い展開を予想した。8月の関連指標が良好だったことから、米8月雇用統計は堅調な結果を見込む。その場合、テーパリング(金融緩和の縮小)が意識され米ドル買いが優勢となると指摘した。テーパリングは株安のリスクとするも、織り込みが進んでいることから為替相場への影響は限定的とみる。

ただし米ドル高を見込む市場参加者が多いとし、デルタ株感染拡大やアフガン情勢の不安定化、米8月雇用統計が予想を下回るケースなどを「米ドル/円」下落リスクとして指摘した。

※米8月雇用統計 は9月3日に公表された。非農業部門雇用者数は23.5万人増となり、事前予想を下回った(予想:+72.8万人)。

三菱国際、半年後ドル円を108~116円と予想

三菱UFJ国際投信は8月31日、「INVESTMENT STRATEGY MONTHLY<投資戦略マンスリー>(2021年9月号)」において、為替相場を以下のように予想した。

三菱国際 為替相場見通し

 6か月後の見通し
米ドル円108─116
ユーロ円125─137
豪ドル円79─89
NZドル円75─85

9月「米ドル/円」は一進一退の展開とみる。米金利の上昇を見込むも不透明感が残ると指摘。9月FOMC(連邦公開市場委員会)でテーパリング機運が高まれば金利上昇が米ドル高につながるとするも、アフガニスタン情勢が金利上昇を阻む可能性に言及した。また自民党総裁選をめぐる外人投資家の思惑についても注意を促した。

岡三AM、中長期的にドル円の上昇を見込む

岡三アセットマネジメントは8月31日、「マーケットビューVol.60─株式・債券・為替市場の見通し─」において為替相場を以下のように予想した。

岡三AM 為替相場見通し

 2021年
9~11月
米ドル円107─114
ユーロ円125─134
ユーロ米ドル1.12─1.23

「米ドル/円」は当面一進一退になるとみる。米国のテーパリングは市場にほぼ織り込まれ、大きな環境変化は想定されないとした。

ただし中長期的には米ドル高・円安に転じるとした。米国が他国に先駆けて利上げを視野に入れる一方、日銀の金融政策正常化は遅れると予想。金利差の拡大から「米ドル/円」の上昇を見込む。

三菱UFJ銀行、ドル円の緩やかな下落を予想

三菱UFJ銀行は9月1日、「FX Monthly(2021年9月号)」において、為替相場を以下のように予想した。

三菱UFJ銀行 為替相場見通し

 2021年
10~12月
2022年
1~3月
2022年
4~6月
米ドル円106.0─111.0
(108.0)
105.0─110.0
(107.0)
104.0─109.0
(106.0)
ユーロ円127.0─133.0125.0─132.0123.5─132.5
ユーロ米ドル1.17─1.221.16─1.211.15─1.22
※()は各期末時点の予想

9月「米ドル/円」は109円台を中心とした値動きを見込む。FOMC前後で一時的に値動きが大きくなる可能性があるとしつつも、概ね上下2円の値幅にとどまるとした。

10月以降は緩やかな下落を予想。FRB(米中銀)は12月にもテーパリングを行うとみるも、金融危機以降の観測からテーパリングに米ドルを押し上げる効果は期待しにくいと指摘。このため、米国の金融正常化は進むも「米ドル/円」は下落が見込まれるとした。

信金中央金庫、ドル円のボックス相場を予想

信金中央金庫地域・中小企業研究所は9月3日、「内外金利・為替見通し(No.2021─6)」において為替相場を以下のように予想した。

信金中央金庫 為替相場見通し

 2021年
10~12月
2022年
1~3月
2022年
4~6月
米ドル円105─115108─118110─120
ユーロ円120─138123─140125─143

「米ドル/円」は当面ボックス圏での推移を見込む。日米金利差は大きく変化しないとした。

ただし感染状況の悪化が円買いを、または米国の金融政策修正への思惑が米ドル買いを促し、一時的に相応の振れを伴う可能性についても指摘した。

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|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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