CoinDesk Researchは10月5日、第3四半期(7−9月期)の四半期レビュー「CoinDesk Quarterly Review」を発表。私にとって収穫の1つは、好むと好まざるとにかかわらず、我々はマルチチェーンの世界に生きているということだ。
ビットコイン・ドミナンス低下
例えばレビューによると、9月のビットコイン・ドミナンス(暗号資産の時価総額全体に占めるビットコインの割合)は42%。これはこの5年で最も低い数字だった。
CoinDesk Researchのアナリストは、これはビットコインのパワーが低下したのではなく、他の暗号資産が爆発的に成長したことによるものだと注意を促している。
「ビットコイン・ドミナンスの低下は、ビットコインが敗者となっていることを意味しない。ビットコインは健全なマネー、そしてグローバルな通貨ネットワークとしての地位を確立し続けている。ビットコイン・ドミナンスの低下は、正確には異なるユースケースを持つ他のプロジェクトに資金が流れていることを示している。それは暗号資産に楽観的な時期によく起こることだ」
イーサリアム vs イーサリアム・キラー
一方、9月はイーサリアムのドミナンスが、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)や「クリプトキティーズ(CryptoKitties)」で盛り上がった2017年以降で最も高くなった。
また、イーサリアムブロックチェーンの混雑と高額なガス代(取引手数料)が、より高速な決済を実現する代替ブロックチェーンへの需要を喚起し、「イーサリアム・キラー」と呼ばれるレイヤー1(L1)ブロックチェーンも人気を集めた。
そうした需要はレイヤー1ブロックチェーンのネイティブ暗号資産の時価総額や、DeFi(分散型金融)の預かり資産(TVL)に反映されている。カルダノ(ADA)、バイナンス・スマート・チェーン(BNB)、ソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)、テラ(LUNA)はレビュー執筆時点で、時価総額トップ12にランクインしている。
DeFi基盤としては、イーサリアムが依然として圧倒的だが、DeFiのTVLを表したグラフを見ると、多様化が進んでいることがよくわかる。
ビットコインは依然として暗号資産市場の主役であり、機関投資家の参入とネットワーク効果が最も進み、批判を集めているもののマイナーの膨大なエネルギー消費がもたらす比類ないレベルのセキュリティを備えている。
この状況は簡単には変わりそうにないが、ビットコインにはスケーリングの限界があり、イーサリアムともども、すぐに唯一の勝者になるわけではない。
第3四半期レビューではこのほか、NFT(ノンファンジブル・トークン)、ステーブルコイン、ゴールドや株式に対するビットコインのパフォーマンスなどを取り上げている。
CoinDesk Quarterly Reviewのダウンロードはこちらから。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk Research
|原文:It’s a Multi-Chain World, Bitcoin Just Dominates It