ビットコイン、取引高回復──ETF承認後には下落懸念も【市場動向】

ビットコインの価格はほぼ横ばいで推移し、7日午後には約5万4000ドル付近で落ち着いた。前日6日は買いが集まり、約8％上昇したが、比較的穏やかな値動きとなった。アナリストは取引高が引き続き増加し、第4四半期（10−12月期）は上昇が続くと予想している。

ブロックチェーンデータは、6日の上昇の背景にはクジラ（大口保有者）による大規模な買い注文があったことを示している。クジラは通常、店頭（OTC）取引を行うが、なぜ、スポット（現物）の取引所で購入したのかは不明だ。

一部のアナリストは、オプション市場の動きから慎重な姿勢を崩していない。

「現物市場の上昇のなかで、弱気な取引もまだ見られる。ごく短期的にはビットコインに修正的な値動きがあるかもしれない」とQCP Capitalは述べた。

取引高の増加

ビットコインのスポット（現物）取引高はこの数日で上昇し、買いの動きが回復したことを反映している。過去数カ月、暗号資産市場は比較的静かだったが、9月の下落が様子見をしていた一部の買い手を刺激した可能性がある。

ブロックチェーンデータを見ると、長期保有者と短期保有者の双方がビットコインを継続的に買い集めており、コストベース（購入価格、あるいは財務諸表上の価値）を上回る利益を実現し始めている。アナリストは、特にビットコイン先物市場でのレバレッジの使用をモニターし、トレーダーが上昇に確信を持っているかどうかを判断している。

「スポット市場での上昇はレバレッジがないことを意味しない。取引所も顧客にステーブルコインを貸し出し、顧客はステーブルコインを使ってスポット資産を購入している」とブロックチェーン調査会社デルファイ・デジタル（Delphi Digital）はブログに書いている。

年末に向けてのビットコインの回復力

歴史的に見て、第4四半期（10−12月期）はビットコインにプラスのリターンをもたらす傾向があり、一部のアナリストが楽観的である理由の1つとなっている。

暗号資産取引所クラーケン（Kraken）。がまとめたデータによると、10月は通常、9月よりもボラティリティが高く（年率平均ボラティリティは10月が66％に対し、9月が61％）、過去の平均で見ると、ビットコインは約13％上昇している。

「このことは、先月末にグローバルマーケットが恒大集団の債務返済問題への懸念や中国からのネガティブなニュースを受けてデリスキング（リスク回避）した後に市場センチメントが反発した事実とともに、ビットコインは伝統的なマーケットの乱高下に対するレジリエンス（回復力）が高まっていると考えられる」とクラーケンはレポートに記した。

大きなイベントの後に下落

また、第4四半期に価格上昇が予想される一方で、一部のアナリストは今月後半に米証券取引委員会（SEC）がビットコインETF（上場投資信託）を承認するかもしれないことは、短期的には価格上昇を停滞させる可能性があると予想している。過去にも大きなイベントの後に価格上昇は停滞した。

「我々はこれまでに80％を超える下落を2回経験しているが、それらは過去の未成熟な時代の出来事であり、この先の弱気相場はより小さなものになるだろう。直近の2回は61％ダウンと54％ダウンだった」と暗号資産投資会社パンテラ・キャピタル（Pantera Capital）のCEO、ダン・モアヘッド（Dan Morehead）氏は7日発行したニュースレターで述べた。

モアヘッド氏は、2017年12月にシカゴ・マーカンタイル取引所（CME）のビットコイン先物が開始されたあとにビットコイン価格が下落したようなことが繰り返されると考えている。

それでもパンテラ・キャピタルはビットコインに対する長期的な強気の見通しを維持している。

アルトコイン状況

●柴犬コイン（SHIB）、急騰：「ドージキラー」を自称する「柴犬コイン（SHIB）」は、CoinGeckoのデータによると、1週間で約400％上昇し、時価総額でみると13位となった。ブロックチェーンデータ会社Santimentによると、価格上昇とともに100万ドル以上の取引数が劇的に増えているという。「これが暗号資産と言えるでしょう。マーケットがリスクオンになると、ミームコインが上昇する傾向がある」と暗号資産分析会社デルファイ・デジタル（Delphi Digital）のアシュワス・バラクリシュナン（Ashwath Balakrishnan）氏は述べた。

｜翻訳：coindesk JAPAN
｜編集：増田隆幸
｜画像：CoinDesk
｜原文：Market Wrap: Analysts Bullish on Bitcoin as Trading Volume Rises

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