中国での全面禁止がビットコインマイニングに与えた影響:レポート

中国がビットコインマイニングをコントロールしているというFUD、すなわち「恐怖、不確実性、疑念(fear, uncertainty and doubt)」は、ビットコイン(BTC)のハッシュレート(マイニングに使われる演算能力)が史上最高値近くまで上昇すると予想されていることから「もはや非現実的」と、マイニングソフトウエアを手がけるルクソー・テクノロジーズ(Luxor Technologies)はレポートで述べた。

レポートによると、ハッシュレートは第4四半期(10−12月期)には185エクサハッシュ/秒(EH/s)まで上昇すると予想されている。これはグラスノード(Glassnode)によると、10月7日の139EH/sから約33%の上昇となる。

7月、中国が暗号資産を全面禁止として以来、ビットコインのハッシュレートはビットコイン価格とともに回復している。中国以外のマイナーにとっては、中国の優位性を逆転する機会となったためだ。レポートは「ハッシュレートは世界中に分散しており、北米が新たに支配的な拠点になる可能性がある」としている。

さらに「中国の歴史的な全面禁止は、マイニング業界に参入できるとは考えていなかった投資家に、セカンドチャンスとなるユニークな機会を提供している」と付け加えた。

出典:Luxor Technologies

ビットコインマイニングは上昇機運

ハッシュレートの上昇を予測している企業は他にもある。

暗号資産フィンテック会社のBitOodaのハッシュレート予想はルクソーよりも高い。BitOodaは中国でのマイニング禁止後、ハッシュレートが予想以上に回復したことから、年末のハッシュレートの予想を従来の145EH/sから198EH/sに引き上げた。

Bライリー証券(B. Riley Securities)は、ビットコインのハッシュレートは2022年には200EH/s、2023年には235EH/sまで上昇すると予測している。

一方、マイニング難易度も第4四半期には上昇するとルクソーは予測している。「第2四半期と第3四半期に見られた上昇ほど劇的ではないものの、引き続き難易度は上昇するだろう」。難易度の上昇は通常、マイナーにとっては逆風となる。

またルクソーのレポートは、最新鋭のASIC(暗号資産マイニング専用のコンピューター)の価格が第4四半期に過去にないほど上昇すると予想している。

ハッシュレートとビットコイン価格の回復から、暗号資産マイニング会社の株価は上昇。マラソン・デジタル・ホールディングス(Marathon Digital Holdings)の株価は年初から約259%、ハット8マイニング(Hut 8 Mining)は約242%、ライオット・ブロックチェーン(Riot Blockchain)は約57%、ハイブ・ブロックチェーン・テクノロジーズ(Hive Blockchain Technologies)は約50%上昇している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:China FUD Over Bitcoin Mining Is ‘Now Moot,’ Luxor Report Says