フランスのデジタル通貨・実証実験、債券取引で試験運用

フランスは約10カ月にわたる中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を進めているが、これまでにブロックチェーンと独自のデジタル通貨を利用した債券取引を実施している。

BNPパリバやソシエテ・ジェネラルなどの大手金融機関で作るコンソーシアムも加わり、フランス中央銀行はIBMが開発したシステムを活用した取引を行っている。取引総額は明らかにされていない。プライマリーセカンダリー市場を合わせて約500回の指示が実行された。

同プロジェクトを主導する、ベルギー・ブリュッセルにある国際決済機関、ユーロクリア(Euroclear)が今週、明らかにした。

プライマリー市場は、企業や国・地方公共団体などが株式や債券を発行して資金を調達する市場のことで、「発行市場」とも呼ぶ。一方、発行された株式や債券を、投資家間で売買する市場をセカンダリー市場、または「流通市場」という。(大和証券より)

北欧のスウェーデンも同国通貨クローナのデジタル版を利用した実験を実施しているが、官民連携で行われているフランスの実証実験は、欧州では最大規模となる。

フランス銀行は今年初め、CBDCのメカニズムとリスクを検証する目的で、CBDCの実証実験を行うための提案書を提出。同行はその他にも、銀行間決済やクロスボーダー・ペイメント(送金・決済)などを対象にしたCBDCの実証実験にも参画している。

中央銀行デジタル通貨の研究開発をめぐっては、中国が先駆けてその開発を急ピッチに進めている。いわゆる「デジタル人民元」を国内市場で利用できる国家プロジェクトを進めているが、2022年に北京で開催される予定の冬季五輪では、海外から訪れる多くの外国人もデジタル人民元を利用できる環境整備を行っている。

法定通貨に連動するステーブルコインを含む、民間企業が開発する暗号資産(仮想通貨)がその市場規模を拡大させるなか、各国政府は中央銀行デジタル通貨の研究開発をペースを速めて進めている。

|編集:佐藤茂
|原文:France Trials CBDC, Blockchain for Government Bond Deals: Report
|トップ画像:フランス・パリのシャンゼリゼ通り(Shutterstock)