イオス(EOS)やテゾス(Tezos)などのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)が開始されて以来、イーサリアム・ブロックチェーンのリプレースを狙うスマートコントラクト・プラットフォーム、いわゆる「イーサリアム・キラー」が次々と登場し、すぐに互いに対立するようになった。
2021年はイーサリアム・キラーの普及が間違いなく大きく進んだ年となっているが、ソラナ(Solana)やアバランチ(Avalanche)などの成功は必ずしもイーサリアムを犠牲にしているわけではない。実際、さまざまなアプリケーションがさまざまなチェーンに展開され、エコシステムはともに活況を呈している。
預かり資産(TVL)
各チェーンの預かり資金(TVL)は、DeFi需要の指標の1つに過ぎず、代表的なチェーンは互いに足を引っ張り合うことなく、成長している。
2021年のスタート時、イーサリアム上のDeFiの預かり資産は210億ドル、さまざまなチェーンの中で97%を占めていた。6月には856億ドルに増加したが、ポリゴン(Polygon)やバイナンス・スマート・チェーン(Binance Smart Chain)が大きく成長したことで、シェアは73.2%に低下した。
現在、預かり資産は1800億ドルに増加したが、シェアはさらに低下して66.5%となっている。だがシェアは短期的にはさほど重要ではないだろう。イーサリアムはアービトラム(Arbitrum)、オプティミズム(Optimism)、ポリゴン(Polygon)などのレイヤー2ソリューションの助けを借りて驚異的に成長する可能性がある。
キラーではない
次々と登場するチェーンは「イーサリアム・キラー」になるという考え方は間違っているようだ。年初から暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)は約6倍に上昇しているが、イーサリアム・ブロックチェーンの預かり資産(TVL)は約9倍になっている。
同じ期間に暗号資産アバランチ(AVAX)は25倍、ソラナ(SOL)は148倍になっている。さらに、アバランチ(Avalanche)やファントム(Fantom)などは、インセンティブ・プログラムなどによってDeFiの利回りを高め、預かり資産を短期的に急増させている。
イーサリアム・ブロックチェーンはこの数年、比較的堅調に成長してきた。強気相場が終わり、いくつかのチェーンが勢いを失うにつれて、その傾向はさらに強まるだろう。
とはいえ、新しいブロックチェーンや新技術による実験的取り組みは、暗号資産全体にとって非常にプラスになっていると考える。競争を促すことで、長期的にはエンドユーザーに優れたソリューションを提供することができる。短期的には、イーサリアムには手が出せなかった数十万人のユーザーを暗号資産市場に参加させることができた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Dune Analytics
|原文:‘Ethereum Killers’ Are Helpful, Not Harmful