テッククランチ創業者の不動産、ブロックチェーンプラットフォーム使い160万ドルで売却

ブロックチェーンを使った不動産プラットフォーム「Propy」は、ベンチャーキャピタルファンド、CrunchFundの共同創業者マイケル・アリントン(Michael Arrington)氏が所有する160万ドルの不動産を売却したと発表した。

この発表の前には、Propy史上最高額の取り引きとして、サンフランシスコにある240万ドルの不動産の取り引きが完全に同プラットフォームで完了したことを発表していた。

Propyは買い主、売り主、エージェント、エスクローエージェント(取引代行業者)が従来の不動産取引を完全にオンラインで行えるようにした不動産取引プラットフォーム。購入希望、支払い、譲渡証明をブロックチェーンを使って行う。

「従来の不動産取引は複雑で、破綻している。買い主、売り主、およびそのエージェントたちは、複雑すぎるやりとりに頭を悩ませている。プロセスは不透明で時代遅れ、必要以上に時間がかかり、詐欺などのリスクも大きい」とTechCrunchの創業者でもあるアリントン氏は語った。同氏はブロックチェーンへの投資などを目的にArrington XRP Capitalを設立している。

「高価な不動産、あるいは他の高価な商品に関しては、通常、所有権はデジタル化されているため、ブロックチェーンに適している」とPropyのナタリア・カラヤネヴァ(Natalia Karayaneva)CEOは語った。

「仮想通貨の次にブロックチェーンが持つ意味は、所有権の移転を可能にするテクノロジーとしての意味……。不動産を含む、あらゆる価値移転の全プロセスに適応できる」

Propyは2017年に初の取り引きを完了、アメリカでの最初の実績は1年前のバーモントでの取り引きだった。世界中ですでに60を超える不動産取引をさまざまな形でサポートしてきた。例えば、17世紀のイタリアの邸宅やユネスコの敷地をブロックチェーンを使って競売にかけた。

同プラットフォームでの不動産の販売価格の中央値は、約150万ドルとカラヤネヴァCEOは述べた。だがその額は上昇を続けている。約20の不動産業者がすでに同プラットフォーム上で取り引きを成立させ、3000社が登録している。

カラヤネヴァCEOは2、3年以内に不動産取引の大多数はデジタル化されると考えている。同社は地方政府と連携して、権利証書の移転に関する書類を自動的、かつ迅速に作成するテクノロジーの提供に取り組んでいる。

「我々は競合するつもりはない。サポートするか排除するかのどちらか」とカラヤネヴァCEO。

全米不動産業協会(NAR)のベンチャーキャピタル部門は最近、そのREACHアクセラレータープログラムを通してPropyに出資した(金額は明らかにされていない)。Propyは2017年にはICOで1550万ドルを調達した。

アリントン氏は以前、Propyを通してキエフの6万ドルのアパートメントを購入、イーサリアムとスマートコントラクトを使って取り引きを成立させた。

翻訳:Masaru Yamazaki
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Sold house image via Shutterstock
原文:TechCrunch Founder Sells $1.6 Million House on Crypto Real Estate Platform