米製薬品メーカー、モデルナのCEOが新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」に対するワクチンの効果が大きく低下すると警告したことで、金融市場のセンチメントは11月30日、リスクオフに反転した。
ビットコイン(BTC)は2.5%下落して5万6000ドルを下回り、S&P500に連動する先物は1.2%下落。米国10年債の利回りは安全資産としての需要を集め、26日の低水準1.47%から上昇した。
投資家はビットコインを取引所に移動
モデルナのステファン・バンセル(Stéphane Bancel)最高経営責任者(CEO)は、現在のワクチンはオミクロン株に対する効果がかなり低いだろうとフィナンシャル・タイムズに述べた。バンセルCEOは、各製薬会社がオミクロン株に対抗するワクチンを大規模に製造するまでには数カ月かかるだろうと付け加えた。
バンセルCEOの発言によって、パンデミックに対する懸念が再燃、リスク資産の回復を妨げた。29日には南アフリカのオミクロン株感染者の症状が極めて軽かったとの報道を受けて、暗号資産市場や株式市場には明るいムードが戻っていた。さらにバイデン米大統領も新しい変異株は「懸念の原因」ではあるが、「パニックの原因ではない」と述べ、経済に悪影響を及ぼすロックダウン規制を解除していた。
市場には、状況が悪化し、ロックダウンにつながるような場合、政府は無制限の支援を行うというコンセンサスがある。しかし、それでは各国政府や中央銀行は厳しい状況に追い込まれてしまう。
すでに世界的にインフレが予想以上に進行しているなか、ロックダウンやさらなる刺激策はスタグフレーションにつながる可能性があり、低成長と物価上昇を招く。ビットコインは価値保存の手段と認識されているが、まだ脆弱だ。
一部の暗号資産投資家は、価格下落が続くことを懸念し、ビットコインを取引所に移しているようだ。グラスノード(Glassnode)のデータによると、中央集権型取引所はこの4日間で2万4950ビットコイン以上を受け取っており、取引所のアドレスが保有するビットコインは増加している。投資家は通常、保有するビットコインを現金化するために取引所に保有資産を移動させる。
取引所の保有残高の上昇は大きなものではないが、今後も上昇が続くようであれば、より大きな下落のサインとなるかもしれない。ビットコインは5月、取引所の保有残高が1年にわたる下落トレンドから上昇した後、急激に下落した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:新型コロナウイルスのワクチン(Pixabay)
|原文:Bitcoin Back on the Defensive as Moderna CEO Warns of Reduced Vaccine Efficacy, Exchange Inflows Eyed