メルカリ、プロ野球パリーグとNFT事業──2次流通市場は2022年以降

メルカリと、プロ野球のパシフィック・リーグ6球団が出資するパシフィックリーグマーケティング(PLM)が、共同でNFT事業を始める。

メルカリとPLMは年内をめどに、動画コンテンツをNFTで購入できるサービス「パ・リーグ Exciting Moments(エキサイティング・モーメンツ)」の運営を開始する。2社は16日、都内で共同会見を開き、発表した。

NFT(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アートやイラスト、写真、アニメ、ゲーム、動画などのコンテンツの固有性を証明することができる。NFTを利用した事業は世界的に拡大している。

販売する動画コンテンツにはそれぞれ、1~4つの星が付与されており、収集した星の数に応じて、限定コンテンツを提供する仕組みも準備した。コンテンツの購入は当面、クレジットカード決済のみ。

2社は現在、ユーザーがNFTコンテンツを売買できる2次流通市場の開発を進めており、同市場の開設は2022年以降を想定している。採用するブロックチェーンは、カナダのDapperLabs社が開発した「Flow」で、暗号資産(仮想通貨)による決済手段の導入も検討していく。

過去2年、新型コロナウイルスのパンデミックで、観客の動員制限などが設けられるなか、PLMは新たな収益源を確保するための取組みを模索してきた。NFT商品の一次販売による売上と、 将来的に二次流通を通じて発生する還元金は、パリーグ球団の新たな収益源となる。

「球場外でファンとのエンゲージメントをいかに増やしいてくが課題だ。試合映像を利用したNFTコンテンツを作る上で、それぞれの球団が単独で行うよりも、6球団で進めるほうが良いだろう」とPLMの根岸友喜CEOは会見で述べた。

Dapper Labsのブロックチェーンを採用

スポーツエンターテインメントの領域で、成功を収めたNFT事業として今年注目されたのは「NBA Top Shot」だ。全米プロバスケットボール(NBA)選手のデジタル・トレーディングカード(NFT)を売買できるプラットフォームで、Dapper Labsが開発した。

NBA Top Shotでは、ユーザーは、「モーメント(Moment)」と呼ばれる15秒程度のNBA選手のハイライト動画が複数入ったパッケージを購入、取引することができる。

メルカリの執行役員でNFT事業を担当する伏見慎剛(ふしみ・しんご)氏は会見で、「イーサリアムは取引手数料(ガス代)が高騰しているなどの課題もある。また、DapperLabsの優れた実績を考慮し、Flowブロックチェーンを採用した」とコメント。

また、伏見氏は、PLMと開発を進める2次流通市場を、海外のマーケットプレイスと連携させる取り組みも検討していくと述べた。北米のOpenSea(オープンシー)は、世界最大のマーケットプレイスと言われ、ユーザー数と取引量を拡大させている。

月間利用者数が2000万人を超えるフリマアプリを運営するメルカリは今年、子会社のメルコイン(mercoin)を設立し、ブロックチェーンと暗号資産を活用したサービスの開発を進めている。

|取材・テキスト:佐藤茂
|写真:多田圭佑