カザフスタン国立銀行(NBK)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタル・テンゲ」のテスト運用のプラットフォームにR3のコルダ(Corda)を使用している。同行が12月15日発表したレポートで述べた。
NBKは「取引の匿名性、機密性、追跡性」を維持するコルダの能力と、オープンソースであることを強調。スウェーデン、日本、カナダ、スイス、南アフリカ、フランス、そしてEUもコルダを基盤としたCBDCプロジェクトを成功させている」としている。
99ページに及ぶレポートは、5月に開始されたCBDCのテストについて調査したもので、CBDCのユースケースや金融・財政に与える潜在的な影響などについて考察している。
NBKが検討しているCBDCの2層モデルでは、中央銀行がシステム全体を監督し、商業銀行がデジタル・テンゲ・ウォレットを解説し、ユーザーが「デジタル・テンゲの交換、換金、銀行間送金」を行えるようにするという。
現金と同様、デジタル・テンゲは銀行のバランスシートには記録されず、ユーザーのデジタル・ウォレットにのみ記録される。
プログラム可能なCBDC
デジタル・テンゲはプログラム可能で、認可された公的機関のみがデジタル・テンゲを配布氏、個人の用途を制限することもできる。例えば、公的資金を医療プログラムにのみ割り当てることができるという。
レポートはまた、デジタル・テンゲは広範な金融包摂を促進できると楽観的な見通しを示した。
カザフスタンでは5人に1人以上が銀行を利用できていない。この傾向は農村部で特に顕著で、多くの人が現金を使い続けている。一方で、キャッシュレス決済は全決済の約77%を占めるとレポートは記している。
また、インターネットにアクセスできない人もCBDCを利用できるよう、オフラインでの使用も検討されているが、そうした場合に二重支出を防ぐ技術的な解決策はまだ開発されていないという。
世界中のCBDCプロジェクトは開発段階にあるとレポートは指摘。「ほとんどの中央銀行がすでに競争に加わっているが、成熟・確立した取り組みは存在せず、まだ研究・実験の領域にある」と述べた。
NBKは、2022年7月までにテストとリサーチを終え、同年12月にデジタル・テンゲの発行の是非について決定する予定だ。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Kazakhstan Piloting a CBDC on R3′s Corda Platform