ノンファンジブル・トークン(NFT)マーケットプレイス「OpenSea」は、過去最高の月次取引高に迫っている。NFTはビットコインの価格下落から切り離された暗号資産エコノミーの一分野となっているようだ。
Dune Analyticsのデータによると、1月前半のOpenSeaの取引高は約27億ドル(約3100億円)で、2021年8月に記録した過去最高の34億ドルを上回る勢いとなっている。
1月9日には、1日あたりの取引高としては過去最大の2億6100万ドルを記録。1月は今のところ毎日、取引高は1億5000万ドルを超えている。
取引高の回復は、NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」とその派生コレクション「Mutant Ape Yacht Club(MAYC)」「Bored Ape Kennel Club(BAKC)」の価格高騰が原因となっているようだ。CoinDeskの試算によると、BAYCコレクションだけでOpenSeaの取引高の約10%を占めている。
ライバルも登場
NFT取引が再び活発化していることは、この分野に大きな市場構造の変化をもたらしている。
OpenSeaは、新たに生まれた分散型NFTマーケットプレイス「LooksRare」との競争に直面、LooksRareは3日間で約4億ドルの取引高を記録し、OpenSeaが記録した数字に肩を並べている。
新規参入者が市場シェアをめぐってOpenSeaと争うなか、OpenSeaの取引高だけをみると、NFTの普及ペースを過小評価することになるかもしれない。
取引高上昇のもう一つの理由は、11月にNFTマーケットプレイス・アグリゲーター「Genie」がスタートし、資金力のある投機家が一度の取引でNFTの取引を一括して行い、時間と取引コストを節約できるようになったことだ。
the @geniexyz community is wild! over 14,000 ETH ($45M) in weekly volume and 12,000 users all-time. can’t wait to unveil what’s next! 🧞🧹💕
— Scott (🧞,🧞) (@Scott_eth) January 9, 2022
「Genieのコミュニティはすごい! 週に1万4000イーサリアム(約4500万ドル)を超える取引高と1万2000人のユーザーがいる。次の動きが楽しみだ!」
NFTの盛り上がりは、年初から暗号資産市場が下落していることによるものだ。
ビットコイン(BTC)は1月10日、一時4万ドルを割り、年初から17%を超える下落となった。その後、ビットコインは反発し、当記事執筆時点では4万2800ドル付近となっている。イーサリアムは年初から約9.8%下落。
2017年にスタートしたOpenSeaは、世界最大のNFTマーケットプレイス。1月上旬にParadigmとCoatueが主導する資金調達(シリーズC)で、3億ドルを調達。同社の企業評価額は133億ドル(約1.5兆円)に達した。
同社は昨年7月に1億ドル規模の資金調達(シリーズB)を行ったが、当時の評価額は15億ドル。評価額は半年あまりで10倍近くになっている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Dune Analytics
|原文:OpenSea on Track for Record Month as NFT Sales Boom