ビットコイン、テクニカル指標は売られ過ぎも大口投資家は表れず

ビットコイン(BTC)の下落はテクニカル指標では行き過ぎに思えるが、クジラや大口投資家の需要は依然として見られず、トレンドがすぐに反転上昇する可能性は低いことを示している。

ビットコインの14日相対力指数(RSI)は30を下回る過去最低レベルとなり、売られ過ぎ状態を表しているようだ。

この数値は、価格下落が速すぎることを意味し、弱気筋はひと息いて市場はレンジ相場となる可能性がある。この水準は前回は2021年5月20日に見られ、ビットコインはその後、数週間にわたって3万ドル超で横ばいとなった。

「日足RSIが過去最低となっても、ビットコインが底を打ったとは言えない。我々の見解では、投資家がマーケットに再参入するための自信を築くには良好な横ばい局面が必要だ」とスタック・ファンズ(Stack Funds)のレナード・ネオ(Lennard Neo)氏はコメントした。

インドの暗号資産運用会社MintingMの創業者ジテッシュ・タイ(Jitesh Tipe)氏によると、週足RSIは、過去に価格の底となった35に近づいているという。

ビットコイン価格とRSI(TradingView)

大口バイヤーが不足

とはいえ、RSIは他のテクニカル指標と同様に、単独では信頼性は低く、売られ過ぎや買われ過ぎが長期間続く可能性がある。

「家を建てるとき、大工はハンマーを使うが、ハンマーだけでは役に立たない。のこぎり、ドリルなども必要だ」とDailyFXのアナリストは述べている。

トレーダーはしばしば、クジラ(大口保有者)の需要、デリバティブ市場データ、マクロ要因などの指標とともにRSIを使う。

当記事執筆時点、大口投資家の新たな買いのサインは見られない。また1000ビットコイン以上の大口投資家の保有残高は低迷し、昨年9月からの価格上昇から乖離していた。

「クジラと呼ばれる大口バイヤーがまだ不足している」とニュースレター「Blockware Intelligence」の著者ウィリアム・クレメンテ(William Clemente)氏は21日発行された最新版に記した。

緑:クジラの保有残高、黒:ビットコイン価格(Glassnode)

9月のクジラの保有残高と価格上昇の乖離は、おそらく2カ月にわたって見られた価格下落の先行指標だったのだろう。2021年5月の下落の前にも同様の乖離が見られた。

米連邦準備理事会(FRB)が利上げを早めることへの根強い懸念と米ロの緊張が安全資産であるドルを押し上げ、ビットコイン上昇を妨げる可能性がある。

「今、インフレや地政学的な緊張のようなマクロ経済の不確実性からの恐怖が暗号資産市場に溢れ出している。ビットコインとドルの間に強い相関関係が加わり、ビットコインに下落圧力を加え続けている。したがって、短期的に多くの価格変動がありつつ、RSIは低い水準のまま続くと考えている」とスタック・ファンズのネオ氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TradingView
|原文:Bitcoin Whales Stay Away Even as Technical Indicator Flashes Oversold