イーサリアム(ETH)の下落は、ある者には損失を、ある者には利益をもたらし、トレーディングのゼロサム的な性質を浮き彫りにした。
イーサリアムが21日に14%以上の過去7カ月で最も大きな下げ幅となったことで「分散型マネーマーケット」とも呼ばれるイーサリアムベースのレンディングプロジェクトにロックされていた担保が清算される事態となった。その際、こうしたDeFi(分散型金融)プロジェクトの中には、清算手数料で多額の利益を得たところもある。
イーサリアム・マネー・マーケットのアーベ(AAVE)、コンパウンド(Compound)、メーカーダオ(MakerDAO)は21日、合計2億ドルの清算を処理し、1日としては過去最高を記録。そのうち、メーカーダオが半分以上を占めたとデルファイ・デジタル(Delphi Digital)がDune Analyticsのデータをもとに述べた。通常、これらのDeFiプロジェクトの1日あたりの清算額は1000万ドル未満だ。
暗号資産が下落し、担保の価値が事前に定められた基準値を下回ると、借り手は清算を迫られる。このプロセスは、デリバティブ取引において、証拠金が不足した際にポジションが清算されることに似ている。
「大きな修正(下落)によってイーサリアムが過去1週間で3200ドルから2500ドルまで下落すると、清算が急増した」とデルファイ・デジタルのアナリストは24日、ニュースレターで述べた。メーカーダオは清算によって利益をあげたという。
公式フォーラムによると、メーカーダオは21日に清算違約金として約1550万ドルを徴収、1月の清算収益は1750万ドルにのぼるという。「ここ数カ月の金額の何倍にものぼり、2021年5月のドローダウン時の収益を上回っている」とデルファイ・デジタルは指摘した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Delphi Digital
|原文:Ethereum Money Markets See Record Liquidations as Ether Tanks; MakerDAO Revenue Surges