「Total value locked（TVL）」は、あるDeFi（分散型金融）プロトコルに預けられた暗号資産（仮想通貨）の価値をいう。日本語では「預かり資産」などと表される。TVLは、DeFiへの関心を測る重要な指標として注目が集まっている。
TVLには、DeFiプロトコルが提供する以下のような機能に預けられたすべての暗号資産が含まれる。
・ステーキング
・レンディング（貸し出し）
・流動性プール
重要な点は、預けられた暗号資産の予想利回りは反映していないこと。あくまでも預けられた暗号資産の現在の価値を表している。
プロジェクトのTVLは、ユーザーが暗号資産を新たに預けたり、引き出したときだけ変化するわけではない。暗号資産市場の中で変動する暗号資産の価値に合わせて、常に変化している。
DeFiプロトコルの預かり資産の一部あるいは全部は、DeFiプロトコルのネイティブ暗号資産建てで表されることもある。ネイティブ暗号資産の価値が上がれば、ドル換算のTVLもそれに連動して増加する。
2020年から2021年に大幅成長
投資家は、DeFiプロトコルのネイティブ暗号資産の評価が適切かどうかを判断する際に、TVLをチェックすることもできる。ネイティブ暗号資産の時価総額は、TVLと比較して高い場合もあれば、低い場合もあり、それが極端であればあるほど、過大評価あるいは過小評価されている可能性がある。
すべてのDeFiプロトコルのTVL合計は、2020年から2021年にかけて、驚くほど急速に成長した。分析会社DeFi Llamaによると、2020年の年初時点、TVL合計は約6億3000万ドル（約730億円）。その半分以上は、代表的なDeFiプロトコル「メーカーダオ（MakerDAO）」が占めていた。メーカーダオのTVLは2021年末には約2410億ドル（約27兆8000億円）にまで成長した。
メーカーダオの他には、カーブ（Curve）、アーベ（Aave）なども大きく成長した。2021年末には、カーブ、アーベのTVLはそれぞれ100億ドル（1兆2000億円）を超えた。
DeFiプロトコルは、1つのブロックチェーンのみで運用することも、複数のブロックチェーンで運用することもできる。現在、最も大きなTVLを持つブロックチェーンはイーサリアムで、ほぼ半分を占めている。
｜翻訳：coindesk JAPAN
｜編集：増田隆幸
｜画像：Shutterstock
｜原文：Why TVL Matters in DeFi: Total Value Locked Explained
