2022年初から株価が冴えない。ナスダック総合指数は年初来でマイナス9%(1月31日終値)と、Covid-19の影響を受けた2020年3月以来の下落率を記録した。
米国株は、約2年間にわたって右肩上がりを維持してきた。長期の上昇機運のなか、日本国内ではNISAやiDeCo(イデコ)をはじめとした政府の優遇施策も手伝って、米国株式の投資信託やETFの販売が好調だった。
大手ネット証券における売れ筋の投資信託では、米国株式を中心に取り扱う銘柄が目立つ。新規で株式市場に参加した個人投資家は、初めて大幅な下落を経験しているのかもしれない。SNS上では、手早く儲けるために購入したレバレッジ商品の含み損を嘆く声も聞かれる。
リスクマネーからの資金流出続く
特に弱かったのがグロース株だ。動画配信大手のネットフリックスは年初来で約30%下落するなど、厳しい相場が続いた。一方で銀行や石油会社の株価が好調で、バリュー株への回帰が鮮明だった。
背景には、米国の利上げがある。金利上昇の影響を受けやすいといわれるグロース株の保有者からは、連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ判断に注目が集まっていた。こうした機運から、リスク資産からの資金流出が続いていた。
デジタルゴールドとも呼ばれた暗号資産(仮想通貨)のビットコイン(BTC)だが、直近の価格推移は株式市場との相関性が高い。
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ビットコインやイーサリアム(ETH)もリスク資産としての値動きを見せている。FOMCが利上げを実施する可能性が顕在化してきた11月頃から下げ始め、現在も値をもどせていない。
1月、FOMC会合では方向感なく──2月はボックス相場か
FOMCは1月26日、会合の決定事項を発表した。テーパリング(段階的縮小)を3月前半に完了予定に据えた一方、明確な利上げの時期は明らかにされなかった。
bitbankの長谷川友哉アナリストは、声明内容について「期待外れ」と話し、「3月中旬のFOMC会合までは身動きが取りづらい」と説明。ビットコインはボックス相場が続いて上値は5万ドル程度、下値は2万9000ドルで底堅いという。
テクニカルの観点からも、もみ合いが予想される。同社の真田雅幸アナリストは「1カ月程度は3万3000ドル~4万ドルのレンジ相場」としたうえで、「弱気トレンドから抜け出すのは早いだろう」と付け加える。
|取材・テキスト:菊池友信
|編集:佐藤茂
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