ディーカレットホールディングス(HD)は2月1日、傘下で暗号資産事業を手掛けるディーカレットを事業売却することを明らかにした。売却額は非公表。ディーカレットによると、「事業譲渡後も取引所のサービスは継続していく」という。
アンバー・グループ(Amber Group)の日本法人であるWhaleFin Holdings Japanに譲渡する。アンバー・グループは、シンガポールなど世界10カ国以上で、機関投資家向けの暗号資産事業を展開している。2021年6月までに実施した資金調達により、評価額が10億ドルを超えるユニコーン企業になっている。
2019年3月に仮想通貨交換業者登録を完了したディーカレットは、取引所・販売所を運営してきた。また、個人が暗号資産のマイニングから報酬を得られる、ビットコインとイーサリアムのマイニング機器の小口販売と運用サービス事業なども手掛けていた。
ディーカレットは、昨年12月に持株会社制に移行。ホールディングス傘下に、暗号資産交換業のディーカレットとデジタル通貨事業のディーカレットDCPを保有していた。1月中旬には、一部報道で事業売却の可能性が報じられていた。
企業や機関投資家による暗号資産市場への参入が広がる北米市場とは対照的に、日本では20社を超える交換業者(取引所)が限られた個人向けの取引サービスを展開し、交換業者間の競争は年々激しさを増してきた。
国内の暗号資産取引口座の開設数は昨年11月末現在で、約536万口座。2020年11月の371万口座からは大幅に増加したが、米取引所大手のコインベース(Coinbase)が有する認証済みユーザー数は約7300万人(月間取引ユーザー数は約740万人)にのぼる。
ディーカレットホールディングスは、大手通信事業者のインターネットイニシアティブ(IIJ)などが主体となって発足した。昨年、67億円の資金をSBIホールディングスやゆうちょ銀行、三菱商事、セコムなどを含む10社から調達し、民間発行のデジタル通貨の研究開発に注力している。
ステーブルコイン発行を計画する「デジタル通貨フォーラム」には、3メガバンクや野村ホールディングス、NTTグループ、JR東日本などが加盟。座長は、元日本銀行の山岡浩巳氏が務めている。
|取材・テキスト:菊池友信
|トップ画像:Amber Groupウェブサイト、ディーカレットの発表文より