大手暗号資産取引所のFTX(FTX Trading)が、Quoine の親会社であるLiquid Groupを買収して、日本市場に参入する。
FTXは2月2日、Liquidの買収を3月に完了すると発表した。買収金額は明らかにしていない。
FTXは、バンクマン-フリード氏がCEOを務め、暗号資産(仮想通貨)やNFTを中心とした取引サービス事業をグローバルに展開している企業。直近の資金調達にはソフトバンググループも参画し、企業評価額は320億ドル(約3兆7000億円)に達している。
サム・バンクマン-フリード氏は同日、Twitterで「FTXは、日本のお客様にサービスを提供するため、金融庁登録の暗号資産取引所を含むLiquid Groupを買収をできることを嬉しく思う」とコメントした。
M&Aで再編が続く日本の取引市場
機関投資家や事業会社が参入を続けてきた北米の暗号資産市場とは対照的に、日本市場の成長ペースは遅く、国内の暗号資産取引サービス事業においては今後も、再編が起こる可能性が高い。
「取引所事業は規模の経済が働くビジネスモデル。暗号資産の取引所業界においても、M&Aを通じた企業拡大が起きることはノー・サプライズだろう」と、クラーケン(Kraken)・ジャパンの代表を務める千野剛司氏はコメント。「機関投資家が参入するグローバル市場に比べると、日本の暗号資産市場は後れをとっていると言わざるを得ない状況だ。グロバール市場を熟知した外資企業が日本に参入することで、国内市場の成長が促されていくと考えている」(千野氏)
事実、取引所世界大手のバイナンス(Binance)と戦略的提携を結び、事業拡大を図った国内企業のTaoTaoは、2020年にSBIホールディングスに買収された。また、ディーカレットは今週、アンバー・グループへの暗号資産取引事業の売却を発表している。
Liquidの買収後、QuoineはFTXの商品・サービスを徐々に自社のサービスに統合していく。すでにFTXを利用しているユーザーは、Quoineに移行される。
QUOINEは、2021年8月にはハッキング被害を受け、FTXから1億2000万ドル(約130億円)の融資を受けた。現在、暗号資産販売所「Liquid by Quoine」を展開しており、2021年10 月には金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業者として登録されていた。
|取材・テキスト:菊池友信
|編集:佐藤茂
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|編集部より:国内市場再編の動きと、外部コメントを追記し、記事を更新しました。