ドナルド・トランプ米大統領は、同氏が仮想通貨の「ファンではない」、仮想通貨は「貨幣ではない」などとツイートし、大統領就任後初めて仮想通貨に対するコメントを公に述べた。
トランプ氏は、その後のツイートで、フェイスブック(Facebook)の仮想通貨リブラ(Libra)プロジェクトを、「ほとんど地位も信頼性もない」と批判し、米国の規制当局が同社に規制を課すことを示唆した。
「フェイスブックをはじめとする企業が銀行になりたければ、新しい銀行免許(Banking Charter)を模索し、他の国内銀行と国際銀行同様に、すべての銀行規制に従わなければならない」
トランプ氏は、過去に他のソーシャルメディアと同様に、右翼的な指導者を禁止するフェイスブックの行動を批判した。今のところ、トランプ大統領がリブラ構想についての議論をした事実は報じられていない。同社は6月にリブラのホワイトペーパーと補足資料を初めて公開した。
リブラが米規制当局や議員の注目を集める中で、上院銀行委員会と下院金融委員会は7月中旬にフェイスブック・ブロックチェーン責任者のデービッド・マーカス(David Marcus)氏を公聴会に招く予定だ。
上院委員会は今年5月にフェイスブックに公開書簡を送り、同社のユーザーデータとプライバシーの扱い方に懸念を表明。マーカス氏は7月、議員に対してフェイスブックが個人的な財務情報を一切収集していないと回答した。
7月10日、ジェローム・パウエル(Jerome Powell)連邦準備制度理事会議長も、同社がマネーロンダリング対策(AML)や顧客確認(KYC)に関する課題に対処できない限り、リブラが前進することは許されないと述べた。
違法行為
トランプ大統領は7月11日のツイートで、「規制されていない暗号資産は、麻薬取引やその他の違法行為を助長する可能性がある」と続け、最後のツイートではこう加えた:
「米国にリアルな貨幣は1つしかない。その信頼性と依存度は今まで以上に強くなっている。それは世界のどの通貨よりも圧倒的に支配的な通貨であり、今後も常にそうあり続けるだろう。それが米ドルと呼ばれる通貨だ!」
また、米財務長官のスティーブン・ムニューシン(Steven Mnuchin)氏は2018年初頭から仮想通貨規制の強化を求めており、G20(20カ国・地域首脳会議)に対して2018年3月の会議でこの問題を取り上げるよう求めてきた。
「ファトフ」で知られる、マネーロンダリング(資金洗浄)などの金融犯罪対策における政府間会合の金融活動作業部会(FATF=Financial Action Task Force)は、各国の中央銀行に対するガイダンスを公表。その中で、暗号資産を取り扱うサービス事業者に対する顧客確認(KYC)の情報収集に関する厳格な実施を求めている。米国は6月までファトフの議長国を務めた。
一方、米大統領首席補佐官代行のミック・マルバニー氏は、対象的な考えの持ち主だろう。同氏は以前、「過度の規制を課して、新規参入者が市場に参入できなくなれば、悪い結果を招くことになるだろう」と述べ、より緩やかな規制の枠組みを求めていた。
翻訳:新井朝子
編集:佐藤茂
写真:Shutterstock
原文:US President Donald Trump Says He’s ‘Not a Fan’ of Bitcoin