3月のNFTマーケットは、一部のコレクターによる高値での取引が活発だったことが明らかとなった。
クラーケン・インテリジェンスのマーケットレポートによると、同月のOpenSea(オープンシー)の1日あたりのユーザー数と1日あたりの取引数は、前月比でそれぞれ30%、34%減少した。一方、1日あたりの取引量は11%の減少にとどまり、1回の取引あたりの平均取引量は33%も増加した。
3月は、人気NFTコレクションAzukiの#9605が、NFTマーケットプレイスのOpenSeaでAzuki史上最高額となる420.7ETH(約1億7000万円)で売却された。一部のコレクターの中では、NFTの熱狂が冷めていないことが分かる。
3月のNFT関連の主なニュースは以下の通り。
⦁ 世界的に人気のNFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」を手がけるYuga Labsが、「CryptoPunks423種」と「Meebits1711種」のコレクションを開発者のLarva Labsから取得。
⦁ デジタルアートのプラットフォームNeonがニューヨークにNFTの自動販売機を設置。
⦁ アヴァランチ財団が「アヴァランチ・メタバース」と呼ばれる400万AVAX(2億9000万ドル相当)のインセンティブプログラムを発表。
⦁ ソラナ基盤のNFTマーケットプレイスであるMagic Edenが2700万ドルの資金調達。
⦁ OpenSeaがソラナ基盤のNFTサポートに向けて準備。
以下は、3月のNFTコレクションのランキング。
NFTはクジラが有利?
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のマーケットでは、大口投資家のことを「クジラ」と呼び、その動向は常に注目される。NFTのマーケットにおいても「クジラ」は重要な要素になるかもしれない。
NFTを安く買って高く売ることをフリッピング(Flipping)と言うが、チェイナリシスのレポートによると、NFTの購入価格が高く購入数が多いグループほど高い利益率をあげている。どちらかというと「目利き力」に頼るのが難しい市場であり、資金力があって、満遍なくNFTに分散投資する余裕があるというごく一部のコレクターが有利な市場であるといえるかもしれない。
千野剛司:クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)代表──慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社し、2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。
※本稿において意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、所属組織の見解を示すものではありません。
|編集・構成:佐藤茂
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