3月のビットコイン(BTC)価格は、長期足では強気チャートを形成している。昨年末頃から続いていた下落トレンドを脱したように見える。今後の上昇を期待できるチャートだ。
3月の月足は11.7%上昇し、終値は555.1万円を記録した。2月も12.0%上昇しており2ヶ月連続の陽線を記録した。2月に続き3月も上昇し、買い傾向が強くなってきた。
3月は終値が3ヶ月移動平均線(3EMA)を上回った。これは昨年11月以来だ。終値は4ヶ月間の高値を記録し、今年に入り最高値(779.8万円)から一時は約50%下落したが、現在は最高値から約28%の下落幅まで回復した。
ビットコインの月足は、3EMAの上位に浮上したことで昨年11月から続いていた下落トレンドを脱したと言える。長期足のチャートは強気に傾き、今後の展開に期待ができる状態だ。
3月は外国為替市場で日本円が売られたこともビットコインの対円価格が強く上昇した要因になった。ドル円の3月の月足は、5.8%上昇し1ドル=121.6円を記録した。
週足で見るビットコインの値動き
週足は3月2週目に約2ヶ月間移動平均線となる8EMAを上回っている。これは11月4週以来となり、週足のプライスアクションは強気に移行した。4月に入っても価格は移動平均線の上位を維持している。
3月4週目となる先週の週足はドージキャンドルを記録した。ドージキャンドルは、買いと売りが拮抗していること示唆するローソク足だ。先々週まで4週連続で上昇していたため、先週は短期筋の売りが発生し価格調整が行われた。
先週は週足MACDが遅行線を上回りゴールデンクロスが確定した。週足MACDのゴールデンクロスは信頼度が高いテクニカル・シグナルとして知られている。
MACD:通称マックディー。移動平均の発展版で、更に売買シグナルにおいて精度を高くした、トレンド分析の中でも人気のある指標の一つ。「移動平均収束拡散」または「移動平均収束乖離」などとも呼ばれています。トレンド形成時に威力を発揮するため、逆にボックス相場に弱いのが特徴。(マネックス証券、はじめてのテクニカル分析より)
過去4回のシグナルでは、直近3回が強い上昇トレンド中に発生している。昨年ゴールデンクロスした際は、シグナルが発生した後、ビットコインは最高値を更新している。上昇トレンドは長い時で数ヶ月に渡り続くため、長期的な買いポジションのシグナルとして使われる。
MACDのゴールデンクロスが上手く機能しなかったのは、2020年1月3週に発生したシグナルだ。この時はコロナのパンデミックが発生し、株式市場を含めた金融市場全体のファンダメンタルズが悪化したため、上昇トレンドは数週間で終了した。MACDのゴールデンクロスは信頼度が高いものの、金融市場全体が下がればビットコインも売られることがあることには注意が必要だ。
日足で見るビットコインの値動き
日足は3月14日から2週間の移動平均線である14EMAの上位で推移していた。足元では価格調整相場に突入しており、4月6日の日足では14EMAを試す展開に発展している。
3月後半からは8日連続陽線を記録しており、上昇トレンドの回帰を匂わす値動きが見られたが、600万円手前から上値が重くなった。540万円〜520万円のサポート帯を日足が下回れば、上昇チャートは崩れることになる。このサポート帯でしっかり反発できるかが今後の展開の重要なポイントとなりそうだ。
テクニカル・インジケーターの日足MACDは間近でデッドクロスし始めており、注意が必要だ。上昇のモメンタムが弱体化していることを示している。トレンドの強さやボラティリティを示すインジケーターのADXも足元で伸び悩んでいる。こちらも上昇トレンドが弱くなっていることを示している。
まとめ
月足や週足のような長期足では、強気チャートを形成している。昨年の暮れから続いた下落トレンドを脱したように見える。重要な移動平均線の上位を維持しており、今後の上昇を期待できるチャートだ。
長期足が強気であるのとは対照的に日足ではやや不安定な値動きが見られる。強気チャートを維持しているものの足元で移動平均線を割り込み始めている。サポート帯を割り込み、520万円の下位で推移するようなら上昇トレンドの継続に黄色信号が灯るだろう。
真田雅幸:ビットバンク(bitbank)マーケット・アナリスト──カリフォルニア州立大学で経済学を専攻し社会のお金の流れについて興味を持つ。大学在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankで業界に関する調査業務を行いながら同社のメディアで寄稿を行う。2015年冬頃からビットコインへの投資、トレードを徐々に始める。最近は基本的なテクニカルに加え、デリバティブ情報やオンチェーン情報も分析しながらトレードを行う。
|編集・構成:菊池友信
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