韓国の暗号資産市場では先週、ビットコイン(BTC)が米ドル換算で3.2%のディスカウント価格で取引された。暗号資産データ会社カイコ(Kaiko)が指摘した。
ここ数年とは正反対の動きだ。韓国では、外国人の国境を越えた資本移動を制限する独自の規制によって、韓国の暗号資産取引所でのビットコイン価格とグローバルな価格との間に「キムチ・プレミアム」と呼ばれる価格差が生まれていた。例えば、昨年のある時点、ビットコインは韓国では20%以上のプレミアム価格(=上乗せ価格)となっていた。この状況は、韓国での強い需要も反映していた。
しかし、数年ぶりにキムチ・プレミアムはマイナスに転じた。トレーダーが、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)の「トラベル・ルール」の適用を想定しているためとカイコは述べた。
トラベル・ルールは、暗号資産サービス提供事業者に、特定の基準を超えるすべての取引について顧客情報を収集・開示することを求めるものだ。
キムチ・プレミアムがマイナスに転じたことは、FTXの創業者サム・バンクマン-フリード氏をはじめとするトレーダーや企業が、かつて積極的に行った裁定取引の終焉を(今のところは)示すかもしれない。
暗号資産に追い風も
韓国の暗号資産を取り巻く状況は最近、勢いに乗っている。
先週、現地英字紙コリア・ヘラルドは、韓国のコングロマリット、SKグループの投資部門SKスクエアが今後3年間に、2兆ウォン(約16億ドル、約2000億円)を半導体とブロックチェーンに投じると伝えた。SKスクエアのCEO兼副会長パク・ジョンホ氏は、同紙へのコメントで「半導体とブロックチェーン」の「高い成長可能性」に触れた。
またこのニュースとは別に、SKスクエアは、韓国のトップ10コングロマリットとして初めて、暗号資産を発行するためのタスクフォースを発足させている。
韓国の新大統領も、違法な手段で得た暗号資産の利益を没収し、被害者に確実に返還する法的措置を含む、暗号資産フレンドリーな政策を公約に掲げていた。
※First Mover Asia から一部抜粋
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:First Mover Asia: South Korea’s ‘Kimchi Premium’ Evaporates; Major Cryptos Tumble on Fed Minutes, Continued Global Uncertainty