【US市場】ビットコイン下落、クジラは利益確定か

ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産市場は14日、株式市場とともに下落した。

マクロ経済的・地政学的リスクへの懸念は依然として残り、一部の買い手は様子見となっている。

地政学的な不確実性によって今年、伝統的な安全資産であるゴールドと原油は上昇している。一方、暗号資産と株式は、市場参加者の間の不確実性を反映して、不安定な値動きとなっている。

ビットコインは14日、4万ドルを維持できず、イーサリアム(ETH)は3000ドル前後となった。多くのあアルトコインはビットコインを下回り、トレーダーのリスク意欲の低下を示している。例えば、この1週間、7%下落しているが、テラ(LUNA)は20%超の下落となっている。

最新価格

●ビットコイン:39,739ドル、-3.14%
●イーサリアム:2,992ドル、-2.93%

●S&P500:4,393、-1.21%
●ゴールド:1,975ドル、-0.29%
●米国10年債利回り:2.83%

ビットコインのドミナンス、横ばい推移

ビットコインのドミナンス(暗号資産全体の時価総額に対するビットコインの時価総額の割合)は、ビットコイン価格と同様にこの1年、狭いレンジに留まっており、暗号資産トレーダーの中立的なセンチメントを反映している。

通常、ドミナンスの上昇は、2018年の弱気市場と同様にリスク回避意欲が高まっていることを示す。さらに、市場にストレスがかかった時期に、ビットコインはアルトコインよりも下落は小さい。

グラフを見ると、イーサリアムなどのアルトコインがビットコインに先立って上昇した昨年、ドミナンスは急落。その後、狭いレンジで推移している。だが2022年は地政学的・マクロ経済的リスクの中でアルトコインは下落している。

ビットコインのドミナンスは、2018年の低水準の35%をまだ上回っており、47%~49%のレジスタンスが維持される限り、アルトコインには短期的にビットコインのパフォーマンスを上回る可能性がある。

ビットコインのドミナンス(CoinDesk, TradingView)

クジラは利益確定か

ビットコインの大口投資家、いわゆる「クジラ」が価格上昇に伴い利益確定を始めている。これは、価格下落時に通常は買い集めるクジラの間に不安があることを示しているかもしれない。

下図を見ると、1万ビットコイン以上の保有するアドレスの数は、過去1週間ほどで大幅に減少していることがわかる。

「この間、少なくとも4人のクジラがビットコインを売却している。大したことではないように思えるかもしれないが、それぞれ4億ドル以上のビットコインを売却している」と英GlobalBlockのアナリスト、マーカス・ソチリオウ(Marcus Sotiriou)氏はメールでコメントした。

「これは重要な指標。なぜならクジラは市場の方向性をコントロールするパワーを持っている」

1万ビットコイン以上を保有するアドレス数(Glassnode)

小規模なクジラ、つまり1000ビットコイン以上を保有する投資家も、この1カ月で利益確定を行っている。

ソチリオウ氏は、トレーダーの間に極端なネガティブセンチメントがあるため、短期的にはまだ暗号資産市場を楽観視している。実際、ビットコインのFear & Greed Indexは今週「extreme fear(極度の恐怖)」レベルに達した。これはときに数カ月にわたるリードタイムがあるが、通常、価格上昇に先行するものだ。

1000ビットコイン以上を保有するアドレス数(Glassnode)

アルトコイン

●Terraform Labs、8億2000万ドル相当のテラ(LUNA)をLFGに提供:アルゴリズム型ステーブルコイン「TerraUSD(UST)」と暗号資産テラ(LUNA)を手がけるTerraform Labsは、USTの裏付け資産としてビットコインを買い進めているNPO「Luna Foundation Guard(LFG)」に1000万テラ(LUNA)、約8億2000万ドル(約1040億円)相当を提供した。The Blockが伝えた。

米下院候補、NFTで選挙資金集め: 元DeFi(分散型金融)開発者で、下院議員を目指すマット・ウェスト(Matt West)氏は、NFTを販売して、選挙資金の調達を行う。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Glassnode
|原文:Market Wrap: Bitcoin Dips as Macro and Geopolitical Uncertainties Remain