ユーティリティNFT──熱帯雨林保護をゲーミファイする取り組みとは

アマゾンの熱帯雨林保護を目指す1万枚のNFTコレクション「The AEternals」は一見すると、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するための植林プロジェクトのように聞こえる。だが実は、NFTの可能性を探る意欲的なプロジェクトだ。

NFT(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アートやイラスト、写真、アニメ、ゲーム、動画などのコンテンツの固有性を証明することができる。NFTを利用した事業は世界的に拡大している。

最近のNFTブームは、デジタルアートやスポーツグッズが中心に盛り上がっている。だがそれは、おそらくNFTの可能性のほんの一端に過ぎない。いわゆる「ユーティリティNFT」は今、DeFi(分散型金融)のようなものを超え、サプライチェーンでの活用のようなエンタープライズ用途に拡大している。

NFTの可能性

「我々はNFTは何にでもなると考えている。どんな可能性があるか興味を持っている」とプロジェクトを推進するEmergeのCEO、ルシア・ガラルド(Lucia Gallardo)氏は語った。「アートやコレクタブルだけでなく、NFTには実用性があるのではないか? ゲーミファイ(ゲーム化)して、よりインタラクティブにすることはできないだろうか」。

AEternalsのNFTは、ウィンクルボス兄弟のNFTマーケットプレイス「Nifty Gateway」で入手でき、保有者はアマゾンにリアルタイムでアクセスできるとガラルド氏は述べた。つまり、自分が保有する区画に雨が降れば、その状況がNFTに反映される。

保有するNFTは、ゲームをプレーしたり、社会貢献活動に参加したり、Rainforest Partnershipのような慈善団体に寄付するなど、オーナーの取り組みによって成長し進化する。

しかし、イーサリアムブロックチェーンで進化するNFTをレンダリングし、発行することは、かなりの電力を消費する。

ガヤルド氏は、プロジェクトは64トンのCO2排出を削減、またNFTコレクションのレンダリングによって発生する熱を再利用して、フランスの公共住宅約4万1000戸に温水シャワーを供給するなど、新しい取り組みも行っていると述べた。

「環境に優しいメカニズムをアピールしているブロックチェーンではなく、なぜイーサリアムを使っているのかと、時々、質問されることがある。このプロジェクトは、すべての二酸化炭素排出を削減することはできないが、排出量削減のためにさまざまなことに取り組んできた。最終的には、この分野に新たに取り組む人たちにとって、信頼できるプロトコルであることを目指した」とガヤルド氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Unsplash
|原文:These ‘Utility NFTs’ Look to Gamify Rainforest Protection