2020年第4四半期(10-12月期)は、エキサイティングだった。ビットコイン(BTC)は機関投資家の関心を集めて輝いていた。コインベース・グローバル(Coinbase Global:COIN)はSECに上昇を申請し、FTXではプレIPOトークンが取引され、その価値は750億ドル(約9兆6000億円)近くまで上昇した。
コインベース株、55%下落
だがIPOから約1年、コインベースの株価は約55%下落し、同時期に約26%下落したビットコイン(BTC)を大きく下回っている(念のためだが、多くのハイテク株も下落している)。コインベースに対する投資家の関心は薄れているようだ。
シンガポールのQCP Capitalは昨年発表したレポートに、投資家は以前のようにライセンスや規制面での有利さに大きなプレミアムを見出さなくなり、それがコインベースの株価にプレッシャーとなるだろうと記した。
「プレミアムは、政府機関がバイナンスようなプラットフォームや取引所を規制する一方で、コインベースにフリーパスを与えるという口実の上に成り立っている」と当時、QCPは記した。「もし今、すでにアメリカで提供されているプロダクトを、適切な規制に基づいて提供している規制を受けたアメリカの事業者が、こうした厳しい措置に直面する可能性があるなら、もう誰も安全とは言えない」。
コインベースは法令遵守に基づき、レンディング(融資)サービスのような暗号資産における魅力的な部分を排除した。またそれは、コインベースがデリバティブ市場において、アメリカ企業以外の多くのライバルから遅れをとっていることを意味しており、投資家が同社株に関心を失った理由の1つになっている。
機関投資家向けデジタル資産プラットフォーム「OSL」を運営する香港のBCテクノロジー・グループ(BC Technology Group)も同様の動きとなっている。好決算を受けて株価は一時的に上昇したものの、昨年1年間で約66%下落している。
マイニング株も下落
マイニング銘柄もさほど良い状況ではない。全米でビットコインマイニング施設を運営するライオット・ブロックチェーン(RIOT Blockchain)の株価は昨年1年間で約66%下落、同じくマイニング会社のマラソン・デジタル(Marathon Digital)は約40%下落、マイニング機器メーカーのカナン(Canaan)は約70%下落した。
Compass Point Researchでマイニング会社を担当するアナリストのマイケル・デル・グロッソ(Michael Del Grosso)氏は、こうしたパフォーマンスの悪さについて「マイニング株は現在、ビットコイン価格にレバレッジをかけた動きとなっている」と以前、コメントしている。
これらのマイニング銘柄は、中国が国内でのマイニングを禁止し、マイニングがアメリカに集中したときに絶好調となった。しかし状況がひと段落し、ビットコインが史上最高値を更新しながらもその後、下落すると、同じように下落した。
現在、Compass Pointはライオット・ブロックチェーンの投資判断を「中立」と評価している。
好調な暗号資産関連銘柄は?
好調な暗号資産関連会社は存在するのだろうか?
シルバーゲート・キャピタル(Silvergate Capital)やシグネチャー・バンク(Signature Bank)のような暗号資産に特化した銀行は好調さを維持している。
暗号資産取引所にサービスを提供する両行は2022年、ビットコインをパフォーマンスを上回った。両行のビジネスが暗号資産取引所と密接に関連しており、その価値は取引所の暗号資産取引高に基づいている。
取引高は、シルバーゲートが提供するレバレッジのような他のツールに対する需要と同様に、活発なペースを維持している。
つまり、ここで見てきた暗号資産関連の上場会社の問題点は、各社に対する市場の敵意ではなく、市場が必要としているのは、ビットコインの価格推移以上のものだということだろう。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Trading View
|原文:A Year After Coinbase’s Public Debut, Most Listed Crypto Firms Are Underwater Compared With Bitcoin’s Performance; BTC Retreats From $42K