ガバナンストークンとは【GWに考える暗号資産の基本】

ブロックチェーンの非中央集権的な世界では、プロジェクトはしばしば、大きな権限と責任をユーザーに分配する方法を探している。だが実現には、プロジェクトの成功に真摯にコミットしているユーザーのみが参加できることを保証する方法を採用しなければならない。

その一つの方法が「自律分散型組織(DAO)」と呼ばれる特殊な形態の集団管理組織を作り、投票権と引き換えに自身の資金を投資することを求めることだ。そうすれば参加者は誠実に行動し、DAOを成功に導く。

通常、この仕組みでは多くの資金を投資した人がより大きな議決権を持つことになる。そして、DAOにおける各参加者の権利を表すために「ガバナンストークン」と呼ばれるユーティリティトークンがユーザーに発行される。

このような方法でステークホルダーの権限と責任を分散させることを「オンチェーンガバナンス」と呼ぶ。

ガバナンストークンが表す権限には、従来のマネジメント的な役割や、プロジェクトのプロトコル(例えば、基盤となるプログラム)を変更する権限が含まれることがある。ユーザーの投票は、ガバナンストークンの保有量に比例して重み付けされることもある。

ガバナンストークンの価値

ガバナンストークンの保有者が、長期的にプロジェクトの健全な運営に関心を持つよう、取引手数料の一部をガバナンストークン保有者に分配するケースも少なくない。また他のトークンと交換できる権利など、ガバナンス以外の権利が含まれることもある。

例えば、テラ(Terra)ブロックチェーンでは、ガバナンストーク「テラ(LUNA)」を使用している。テラ(LUNA)は通常の暗号資産(仮想通貨)と同じように暗号資産取引所で取引されているが、その中心的機能の一つは、保有者がネットワークポリシーに関する投票に参加できることだ。

テラ(LUNA)保有者による投票がきっかけとなって、2021年に数千万のテラ(LUNA)をバーン(焼却)して、ステーブルコイン「TerraUSD(UST)」を発行する動きが始まった。投票までの間、テラ(LUNA)保有者の間では熱心が議論が行われた。

このようにコミュニティ全体が、あたかもスマートコントラクトのメカニズムで厳密に組織された巨大な委員会のように機能する。

つまり、ガバナンス・トークンの価値のある部分は、保有者に特定の権限を与えているという事実にあり、大きな価値を生み出しているようだ。テラ(LUNA)は2021年に80ドル以上まで上昇した。

こうした点で、テラ(LUNA)のようなガバナンストークンは、ビットコイン(BTC)のような従来の暗号資産とは異なる。ビットコインは価値の保存手段や交換手段として、伝統的なマネーに近い機能を持つ。

まとめると、DAOは多くの場合、ガバナンストークンを使って意思決定を行う仕組みになっており、権限を完全にステークホルダーに委ねることで、中央集権的な管理を完全に回避することを目指している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:What Is a Governance Token?