今週のトップニュースをダイジェストで振り返ります。
UST崩壊、次の懸念は“NFT”:モルガン・スタンレー
ビットコイン(BTC)は4月以降、約40%下落しているが、これはもはや株式市場との相関関係によるものではないと米投資銀行モルガン・スタンレーは5月12日付のリサーチレポートで述べた。
「分散型金融(DeFi)や暗号資産担保型ステーブルコインなど、暗号資産のなかでも盛り上がり、注目された分野では巨額の清算が見られ、価格上昇はすべて投機的なもので、リアルなユーザー需要は限られていたことが明らかになりつつある」とシーナー・シャー(Sheena Shah)氏率いるアナリストらは記している。
4500億円のビットコインはどこへ?──テラの準備金を分析会社が追跡
この2、3週間、ネットの話題を追っていたなら、ステーブルコイン「TerraUSD(UST)」の少なくとも一部の裏付けとなるはずだった35億ドルのビットコインが、何の役にも立たなかったことはご存知だろう。
35億ドルの準備金がデペッグ(米ドルからの逸脱)を防ぎきれず、巨額の資産が失われたことは明らか。だが一方で、35億ドルがどのように使われ、今どこにあるかは誰も知らない。
インド中央銀行、暗号資産は経済の「ドル化」を招く:報道
暗号資産(仮想通貨)は経済の「ドル化」を招く可能性があり、国の主権的利益に反する恐れがあるとインドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)の高官らは同国議会で述べた。現地紙のPress Trust of Indiaが伝えた。
暗号資産は価値交換の手段となり、国内および国境を越えた金融取引において同国の法定通貨ルピーをリプレースする可能性があるという。
暗号資産ファンド、年初来最大の資金流入──テラ崩壊による市場下落をチャンスと捉える動き
暗号資産ファンドは5月13日までの1週間、2億7400万ドルの流入超となった。
コインシェアーズのリサーチ責任者、ジェームズ・バターフィル(James Butterfill)氏は「投資家はUSTのデペッグとそれに伴う幅広い暗号資産市場の下落を買いのチャンスと考えた」ことを示す強いシグナル」と述べた。
残りは313ビットコイン──8万ビットコイン以上あったUSTの準備金
ステーブルコイン「TerraUSD(UST)」の準備金としてビットコインを購入していたLuna Foundation Guard(LFG)は16日に声明を発表、USTのドルペッグを維持するために、多額の暗号資産を売却したと述べた。
準備金のビットコインはほぼ完全に無くなり、約8万ビットコインから約300ビットコインになったという。ビットコイン以外の資産も売却され、残りは投資家の補償に使われるようだ。ただし、大部分は、大幅に下落したUSTとテラ(LUNA)だ。
エルサルバドル大統領、新興国にビットコイン採用を促す:金融包摂同盟の年次総会
金融包摂同盟(Alliance for Financial Inclusion:AFI)の年次総会のホストとして、エルサルバドルのナイブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領は、新興国から参加した32の中央銀行と12の金融当局にビットコインの使用と採用を促している。
「44カ国にタネをまく。3日…。ビットコインは世界のためになる」とブケレ大統領はツイートした。
ApeCoin、アバランチとフローから移行提案──巨額なイーサリアムの取引手数料がきっかけ
Yuga LabsとApeCoin DAOの双方の理事会メンバーは、ApeCoinのイーサリアムからの移行について2つの提案を受けているという。
提案を行ったのは、アバランチ(Avalanche)とFlow(フロー)。この2つのブロックチェーンは、Yuga Labsが構築しているような大規模なNFTエコシステムのホスティングに適しているとアピールしたという。
「暗号資産の冬」懸念は杞憂:バンク・オブ・アメリカ
「暗号資産の冬」への懸念は杞憂に過ぎないと、米銀大手のバンク・オブ・アメリカは述べた。
暗号資産のパフォーマンスが伝統的な資産を上回らないことを不思議に思う投資家は、暗号通貨エコシステムが「新興の技術資産クラスであり、エコシステムを支えるトークンは高い成長率の投機的リスク資産のように取引されている」ことを認識すべきと、同行のアナリストらは5月17日付け文書に記した。
S&Pグローバル・レーティング、DeFi戦略グループを設立
S&Pグローバル・レーティング(S&P Global Ratings)が、DeFi(分散型金融)戦略グループを設立した。同チームの目的は、同社の投資家向けDeFiフレームワークを構築し、伝統的金融とDeFiの両方のクライアントに対して、より強化した分析・リスク評価能力を提供していくことだ。
野村がDeFi・NFT・暗号資産トレード事業──海外で子会社設立へ
野村ホールディングス(HD)は5月17日、暗号資産(仮想通貨)トレーディングとNFT、DeFi(分散型金融)事業を手がける子会社を海外に設立する計画を発表した。日本の大手金融機関が暗号資産取引やDeFiなどを本格的に始めるのは初となる。
770億円のゲーム向けファンド、アンドリーセン・ホロウィッツが設立
米大手VCのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz/a16z)が、初のゲーム向けファンドを立ち上げた。ゲーム開発会社、ゲーム関連のコンシューマーアプリやインフラに6億ドル(約770億円)を投資していく。
米コインベース、暗号資産シンクタンク設立
コインベース・グローバル(Coinbase Global)は、デジタルエコシステムにおけるアイデア創出を促進するために暗号資産(仮想通貨)に特化したシンクタンク「Coinbase Institute」を設立した。暗号資産とWeb3に関する研究を発表し、政策立案者や業界リーダーと対話していくという。
テザー、コマーシャルペーパーの保有額を17%削減──1Qの準備金レポート発表
時価総額最大のステーブルコイン、テザー(USDT)を発行するテザー(Tether)は5月19日、最新の保証報告書を発表。第1四半期(1-3月期)に準備金のコマーシャルペーパー(CP)を242億ドルから201億ドルに17%削減した。
ジョイファ、3000万円を調達──デジタルスニーカーを展開
ジョイファ(Joyfa)は5月19日、プレシードラウンドで23万5000ドル(約3000万円)の資金調達を実施したと発表した。NFTを活用した、デジタルスニーカーのコミュニティを開発・運営していくという。
3D技術を活用した「デジタル版のスニーカー」を作成し、NFTとして販売できるエコシステムを構築する。NFTの所有者は、ジョイファがローンチするアプリやサイト上で、スニーカーを展示できる。また、AR(拡張現実)を通して着用できるようにする。
ソラナのNFT市場「Magic Eden」、取引件数がOpenSeaを上回る
ソラナ基盤のNFTマーケットプレイス「Magic Eden」は1日あたりの取引件数がイーサリアム基盤の人気NFTマーケットプレイス「OpenSea」を上回った。ソラナのNFTエコシステムは勢いを増している。
DappRadarの週間データによると、1日あたりの取引件数はOpenSeaの5万件に対し、Magic Edenは約27万5000件(件数は購入、入札、出品を含む)に達した。
日本旅行、法人向けメタバース事業に参入──米プラットフォームの特約店に
日本旅行は5月20日、メタバースを活用した法人向けソリューション事業に参入すると発表した。同社の顧客である法人や教育分野の組織に対して、メタバース空間を提供する。
|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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