イランが国内で“未承認”の仮想通貨による支払いを禁止する可能性が出てきた。
コインデスクが入手した同中央銀行の報告書のドラフト(草稿)には、「仮想通貨ウォレットは、仮想通貨の保有および移動にのみ使用でき、ウォレットにサービスを一体化することは禁止するものとする」と述べられている。
ペルシア語で作成された報告書は、タイトルに「Obligations and Rules Regarding Cryptocurrencies(仮想通貨に関する責任とルール)」と記されている。関係者によると、報告書はドラフトであり、イランの決定方針ではなく、内容は2019年1月29日に首都テヘランで開かれる電子銀行と支払いに関するカンファレンスで議論されるという。
中央銀行は個人が少額の承認された仮想通貨の保有と移動を直接制限することはない(同報告書)。しかし、報告書の内容が承認されれば、イランでは未承認通貨での支払いはできなくなる。
現段階では、どの仮想通貨が承認されるのかは不明だが、イラン国内の規制に詳しい関係者によると、規制当局の意向は、国内においての全てのビットコイン取引は法定通貨のリアルで決済されることだという。
また、イランは国民が所定の銀行口座以外で1万ユーロ(約125万円)以上を所有することを禁止しているように、大量の仮想通貨の保有にも制限を設ける可能性がある。
テヘランに拠点を置く仮想通貨のデベロッパーは、匿名を条件にこう語った。
「イランのコミュニティーにとってはショッキングな事実だ。海外クライアントの顧客確認(KYC=Know Your Customer)方法が整備されていないなか、海外顧客からビットコインを受けとる事業社にとっては、最悪の結果になるかもしれない」
法定通貨・リアルの保護
政府は法定通貨であるリアルを守るために懸命になっていると、イラン国内の市場関係者たちは話す。
報告書には、支払い手段として、法定通貨に固定されたトークンと貴金属、コモディティの利用は禁止されると述べられている。また、取引所に対してはライセンスの取得を義務づける内容も記載された。中央銀行は、3カ月ごとに取引所での取引が認められる仮想通貨のリストを更新していくという。
取引所ライセンスを取得することは、そう簡単ではないと、イランでブロックチェーン関連企業の創業者は述べた上で、「(報告書で述べられている事項が実行されれば)新たに生まれようとしている業界が、機能不全になる恐れがある」と加えた。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Bitcoin and Iran rial image via Shutterstock
原文:Iran Could Ban Bitcoin for Payments, Central Bank Report Suggests