分散型取引所(Decentralized Exchange:DEX)は、多数のユーザー間での暗号資産(仮想通貨)の大規模な取引を調整するブロックチェーンベースのアプリケーション。分散型取引所は、買い手と売り手の間の金融仲介を行う従来の方法ではなく、完全に自動化されたアルゴリズムによって実現されている。
分散型取引所が使用するアルゴリズムは、スマートコントラクトの一例。スマートコントラクトは、イーサリアム(Ethereum)のようなブロックチェーン上に書かれたプログラムだ。
分散型取引所の背景にある考え方は「ディスインターミディエーション(中抜き)」、つまり、中間業者を排除して、ユーザーが互いに直接取引できるようにすることだ。分散型取引所はユーザーの暗号資産を預かることはしない。ユーザーは常に自分のウォレットに全資産を直接保有する。
中央集権型取引所に匹敵
世界4大会計事務所のひとつ、KPMGのレポートによると、最大級の分散型取引所は、2021年下半期までに取引高において最大級の中央集権型取引所(CEX)に並び始めた。中央集権型取引所が最大級の暗号資産会社であるように、分散型取引所は最大級の分散型組織だ。
通常、分散型取引所は、従来の取引オーダーブック(買い手と売り手を注文価格と注文数に基づいてマッチングする方法)を取らず、「流動性プール」を採用している。流動性プールはいわば、売買注文に応えるために蓄えられた、分散型取引所の背後にある共同基金のようなもの。プールの資産は投資家が預け入れたもので、投資家は代わりに取引手数料から一定の利回りを得る。
最大の分散型取引所は、ユニスワップ(Uniswap)で、大手メーカーのシーメンスを解雇されて初めてプログラミングを学んだ元エンジニアが2018年にイーサリアム・ブロックチェーン上に開設した。2021年下半期には、1日あたり10億ドル以上の取引を処理するようになった。
CoinGeckoのデータによると2022年2月時点、ユニスワップv3は、日によっては20億ドル近くの取引を処理していた。競合のパンケーキスワップ(PancakeSwap)の1日あたりの取引高は3億ドル〜6億ドル、ユニスワップは約3倍の取引高を誇っている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:What Is a DEX? How Decentralized Crypto Exchanges Work