【ニューヨーク】──今回で4度目となる世界最大規模のNFTイベント「NFT.NYC 2022」が6月20日から4日間、ニューヨークで開かれる。運営会社の発表によると、参加登録者数は14,000人を超え、登壇者の数は1,500名に達した。
スポンサー企業には、暗号資産(仮想通貨)取引サービス大手のコインベース(Coinbase)、ポリゴン(Polygon)ブロックチェーン傘下のポリゴン・スタジオ(Polygon Studios)、NFTマーケットの世界大手OpenSeaなどが名を連ねる。
イベントは、タイムズスクエア近くのホテルを拠点に、約6,000人を収容できるラジオシティ・ミュージックホールなどの複数の施設で開催される。登壇者たちはそれぞれが手がけてきたNFTを披露するが、その分野はアート、ゲーム、コレクティブルズ(収集品)、音楽、ファッション、スポーツ、映画と幅広い。
イベント期間中、少なくとも300のサテライトイベントやパーティがマンハッタンの至るところで開かれる予定だ。2021年に世界の注目を集めたNFTコレクションのBored Ape Yacht Club(BAYC)も、「APEFEST2022」と名づけたイベントを主催する。
BAYCのイベントには昨年、ロックバンドのTHE STROKESやラッパーのリル・ベイビーが登場した。業界内では、ジャスティン・ビーバーやマドンナが今回のイベントにサプライズゲストとして参加するのではとの憶測も聞かれる。
アートNFTを扱うマーケットプレイスの「SuperRare」は、多くのアートギャラリーが並ぶソーホー地区に期間限定のギャラリーをオープンした。
日本企業もNYでサテライトイベント
また、日本からNFT.NYCに参加登録した人数は、昨年から大幅に増加。ゲーム開発企業など複数の日本企業も、20日~24日の期間中に独自のイベントを市内で開催する。
過去1年間で、コインチェックやLINE、GMOインターネットグループ、楽天、SBIホールディングスなどの大手企業がNFTマーケットプレイスの運営を開始してきた。また、国内のプロ野球チームやアーティスト、ミュージシャン、アニメクリエイターなどは、ファンコミュニティ向けにNFTを発行・販売する動きを強めている。
世界市場の激変とNFT
今回のNFTイベントが昨年と異なるのは、世界経済とリスク資産市場が大きく変わったことだ。欧米におけるインフレと中央銀行による金融引き締め政策、ウクライナ戦争によるエネルギーと穀物価格の高騰は、グロース株などのリスク資産から莫大な資金が引き揚げられ、株価は下落。
NFTのほとんどの取引はイーサリアムブロックチェーンで行われているが、暗号資産のイーサ(ETH)も大きく値を下げている。過去1カ月間で、2,000ドル近辺から一時は1,000ドルを割り込んだ。ダップレイダー(DappRader)のデータを見ると、NFTの平均価格も同様に落ち込んでいる。
市場環境が大きく変化する中、世界のNFTクリエイターたちは初夏の過ごしやすいニューヨークでどんなサプライズを見せてくれるのだろうか?
|取材・撮影:佐藤茂