今回のNFTイベントが昨年と異なるのは、世界経済とリスク資産市場が大きく変わったことだ。世界のNFTクリエイターたちはニューヨークでどんなサプライズを見せてくれるのだろうか?──今週のトップニュースをダイジェストで振り返ります。
最大の「stETH」プール、ほぼ空に──売りはより困難に
暗号資産(仮想通貨)市場がここ数週間で急落するなか、アラメダ・リサーチ(Alameda Research)やスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)などの大口機関投資家は、分散型金融(DeFi)プロトコルのカーブ(Curve)を使って、保有するステークド・イーサ(staked ether:stETH)を減らしている。この緊急事態ともいえる状況は、stETHがイーサリアム(ETH)のペッグから予想外に逸脱したためだ(通常、stETHはETHを1対1の価値を保つ)。
最大のビットコインETFから巨額の払い戻し──週末のビットコイン下落の要因に
パーパス・ビットコインETF(Purpose Bitcoin ETF)は17日、2万4510ビットコインの払い戻しがあり、2021年4月にカナダ証券取引所に上場して以来、最も厳しい償還額となった(アーケーン・リサーチのデータによる)。
これはファンドが17日、約5億ドル相当のビットコインを売却しなければならなかったことを意味し、すでに下落傾向にあった暗号資産市場にさらなる売り圧力を生んだとアーケーン・リサーチはレポートに記している。
ビットコインが2万ドル割れ、2020年12月以来──イーサリアムも一時、1000ドル割れ
ビットコイン(BTC)は18日、24時間で9.5%下落し、2020年12月以来となる2万ドル割れとなった。一時、1万8739.50ドルまで下落し、日本時間18日21時前には1万9300ドル付近となっている。
イーサリアム(ETH)も当記事執筆時点、24時間で9.78%下落して1000ドルを割り、992ドル付近となった。日本時間18日21時前には1010ドル付近となっている。
ビットコイン、前サイクルの高値を下回る──一時1万7000ドル台まで下落
ビットコイン(BTC)は18日(日本時間19日未明)、1万8500ドルを割り、先週まで横ばいとなっていた2万ドル〜2万3000ドルのレンジを回復することはできなかった。
CoinGeckoによると、ビットコインの時価総額は約3500億ドルまで落ち込み、11月の史上最高値時から73%減少している。また今回の下落では、きわめて重要な価格レベルを割り込んだ。すなわち、前回、2017年末の上昇サイクル時の史上最高値1万9783ドルを下回った。
「クジラ」ウォレットの強制管理──清算の混乱を避ける手段か、DeFiを損なうものか:ソラナのDeFi「Solend」
ソラナブロックチェーン上のDeFiプロトコル「Solend」は19日、同プロトコルで最大のアカウント、いわゆる「クジラ」を強制的に管理するための投票が行われた。関係者によると、クジラは「きわめて大きなポジション」を持ち、壊滅的な清算の危機に追い込まれていた。
Solend初の前例のないガバナンス投票によって、Solend Labsは、ソラナ(SOL)価格が大きく下落した場合、通常、清算が行われる分散型取引所(DEX)ではなく、店頭(OTC)取引でクジラの資産(約2000万ドル、約27億円)を清算する「緊急権限」を付与することになる。
ウクライナ、寄付されたCryptoPunkを10万ドルで売却
ウクライナは、ロシアの侵攻に対抗するための寄付として3月上旬に受け取った人気NFT「CryptoPunk #5364」を売却した。同国デジタル変革省のアレックス・ボルニャコフ(Alex Bornyakov)副大臣が20日、ツイートした。
ビットコイン、9900億円の記録的な損失額:Glassnode
ビットコインはこの数日間に73億ドル(約9900億円)相当を失った。分析会社グラスノード(Glassnode)によると、これは過去最大の損失額に相当するという。
データを見ると、保有者のなかには史上最高値の約6万9000ドルでビットコインを購入し、約1万8000ドルで売却して、75%近い損失を被った人もいるとグラスノードは記している。
ショート・ビットコインファンドから大きな流出──ネガティブセンチメントはピークか
6月17日までの1週間、ショート・ビットコインファンドは580万ドルの純流出となったと暗号資産運用会社コインシェアーズ(CoinShares)は20日に発表したレポートに記した。週初めには、こうしたファンドの運用資産残高(AUM)は過去最高の6400万ドルとなっていた。
ショート・ビットコインファンドからの投資家の撤退は「ネガティブセンチメントがピークに近いことを示しているかもしれない」(コインシェアーズ)。
アメリカ初のショート・ビットコインETF、ニューヨーク証券取引所に上場
米資産運用会社のプロシェアーズ(ProShares)は、投資家がビットコイン価格の下落に投資できるアメリカ初のETF(上場投資信託)を販売する。
同社は20日、プロシェアーズ・ショート・ビットコイン・ストラテジー(ProShares Short Bitcoin Strategy:BITI)の取引をニューヨーク証券取引所(NYSE)で21日から開始すると発表した。
世界最大NFTの祭典が開幕へ──ニューヨークに熱気再び?
今回で4度目となる世界最大規模のNFTイベント「NFT.NYC 2022」が6月20日から4日間、ニューヨークで開かれる。運営会社の発表によると、参加登録者数は14,000人を超え、登壇者の数は1,500名に達した。
イベントは、タイムズスクエア近くのホテルを拠点に、約6,000人を収容できるラジオシティ・ミュージックホールなどの複数の施設で開催される。登壇者たちはそれぞれが手がけてきたNFTを披露するが、その分野はアート、ゲーム、コレクティブルズ(収集品)、音楽、ファッション、スポーツ、映画と幅広い。
NFT.NYCが開幕:ニューヨーク各所でパーティ始まる
今回で4回目となる世界最大のNFTイベント「NFT.NYC 2022」は6月20日、VIPチケットを購入した参加者と、1,500名を超える登壇者が招待されたVIPディナーパーティで幕を開けた。同日夕、ニューヨーク市内各所でも複数のプライベートパーティが開かれた。
VIPパーティはタイムズスクエアにあるホテル「ニューヨーク・マリオット・マーキス」で行われた。今回のイベントの本会場となるホテルだ。
保有ビットコインの約半分を売却──戦略変更を強いられるBTCマイニング会社
ビットコイン(BTC)マイニングのビットファームズ(Bitfarms)は、負債を減らすために過去1週間で保有するビットコインの半分近くを約6200万ドル(約84億円)で売却した。
21日のプレスリリースによると、同社は「資金の流動性を改善し、バランスシートを強化」するために長期保有戦略を調整している。3000ビットコインを売却したことで、保有高は3349ビットコインまで減少したという。
問題のクジラが資金を移動、清算リスクは低下:ソラナのDeFi「Solend」がツイート
ソラナブロックチェーンのDeFi(分散型金融)プロトコル「Solend」でガバナンスをめぐる混乱を引き起こしているクジラ(大口保有者)のウォレットが21日午前中、数百万ドル相当の暗号資産を動かし始めた。Solendがツイートした。
数億ドルの損失となる可能性のある清算が起きた際に、ソラナのDeFi市場に及ぼすかもしれない影響を回避する動きだ。
ソラナのNFT市場「Magic Eden」が1.3億ドル調達、評価額16億ドル
ソラナ(Solana)ブロックチェーンのNFTマーケットプレイス「Magic Eden」は21日、シリーズBの資金調達ラウンドで1億3000万ドル(約180億円)を調達したと発表した。
評価額は16億ドル(約2180億円)。これは世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」のシリーズBのときの評価額15億ドルに並ぶ金額。OpenSeaは今年初めに発表されたシリーズCのラウンドで評価額が130億ドル(約1兆7700億円)に達している。
ファレル・ウィリアムス、人気NFT「Doodles」の最高ブランド責任者に就任
世界的人気アーティストのファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)氏がNFTプロジェクト「Doodles」の最高ブランド責任者に就任した。
5月に同プロジェクトの新CEOとなった元ビルボードのジュリアン・ホルギン(Julian Holguin)氏は、現在開催中のイベント「NFT.NYC」でのDoodle保有者向けプライベートイベントで、満員の参加者に向けて大きなスクリーンにウィリアムスが語る動画を流しながら就任を発表した。
OasysとConsenSysが戦略提携、ゲーム用ブロックチェーンとウォレットがコラボ
ゲームに特化したブロックチェーンの開発を進めるOasysは、世界で3000万人が利用する暗号資産ウォレットのメタマスク(Metamask)を手がけるコンセンシス(ConsenSys)と戦略的パートナーシップを結んだ。
6月22日(米東部時間)付の発表によると、コンセンシスはOasysに対してインフラ面での支援を行う。Oasysはメタマスクの利用を推奨することでコンセンシスをサポートする。
ソラナラボ、Web3スマートフォン発表
ソラナラボ(Solana Labs)は23日、独自アンドロイド端末「Saga」をニューヨークで発表した。
Sagaは、新興メーカーのOSOM Productsの端末に、専用の暗号資産(仮想通貨)ウォレットとWeb3ソフトウェア開発キット「Solana Mobile Stack(SMS)」を搭載したもの。ソラナラボのCEO、アナトリー・ヤコベンコ(Anatoly Yakovenko)氏によると、価格は約1000ドル(約13万5000円)、2023年初頭に発売予定だ。
グッチ、アートNFTのマーケットプレイス「SuperRare」のDAOに参加
グッチは2万5000ドル(約340万円)相当の暗号資産RAREを取得し、SuperRareDAOに参加。29人のアーティストによるNFTアート作品を集めた展覧会「Vault Art Space」を開催する。
「我々は、この多面的なアーティスト集団のビジョンを拡大するために互いに協力し合えると理解し、SuperRareにアプローチした」とGucci VaultのCEO、ニコラス・ウディノ(Nicolas Oudinot)氏は語った。
狙われるブリッジサービス、1億ドル(約135億円)が不正流出──4月には6億ドル以上が流出
Harmonyブロックチェーンのブリッジサービスから、1億ドル(約135億円)を超える暗号資産が不正アクセスを受けて流出。「Harmonyのチームは、Horizonブリッジで今朝、約1億ドル相当が盗まれたことを確認した。我々は犯人を特定して盗まれた資産を取り戻すために、当局や専門家と連携している」とHarmonyはツイートした。
|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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