Polygonが東京・原宿で開発者イベント──重要市場の日本で利用拡大狙う

イーサリアムを拡張するブロックチェーンとして注目されているPolygon(ポリゴン)が7月1日〜3日までの3日間、東京・原宿で開発者向けイベント「Tokyo Hacker House」を開催する。

エンジニア向けのハッカソン、トークセッション、ベンチャーキャピタリストとの交流イベントを通じ、ポリゴン上のdApps開発を加速させる。

ポリゴン上のdApps開発解説、NFT、DeFi、DAOをテーマにしたトークセッションに加え、Polygonの技術者から直接アドバイスをもらえるオフィス・アワーを設けている。ラウンジ飲食やディナー会も予定されている。

イーサリアムより「速く、安く」

スマート・コントラクトで革命を起こしたイーサリアムだが、爆発的な利用に伴って、取引速度の低下や手数料の高騰などの弊害も顕著になってきた。ポリゴンは、そうしたイーサリアムの課題を解決するために生まれたソリューションで、独自のブロックチェーン「ポリゴンPOS」を持ち、その上で様々なdAppsを稼働させることができる。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドやセコイア・キャピタルなどの出資も受けている。

ポリゴンPOSは、イーサリアム(EVM)との互換性があるサイドチェーンで、同じようにスマート・コントラクトを実行できる。その一方で、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用し、イーサリアムよりも「速くて安い」のが特徴だ。ポリゴンの公式サイトでは「トランザクションは秒間7000回で、イーサリアムの秒間15回を遥かに上回る。手数料は10000分の1以下」とうたわれている

イーサリアムも次期大型アップデートで速度・手数料面での改善が予定されているが、それでも爆発的に伸びているGami-FiやNFT市場の取引量を全て受け止めきれるとは限らない。

「多くのゲームアプリで発生する膨大な量の取引はポリゴン上で継続して行われるようになるだろう」とポリゴン・スタジオのビール・ヨリコ氏は想定している。

日本は「戦略的・最重要市場の一つ」

ビール氏によると、主にエンタメ領域の開発支援を目的に2021年7月に設立された「ポリゴン・スタジオ」では、ゲーム・エンタメのコンテンツを豊富に持っている日本を、戦略的・最重要市場の一つに位置づけているという。

Play To Earnゲームは、「STEPN」などのブームをきっかけに、日本でも大注目されている分野だ。こうしたGami-Fiが機能するためには、ゲーム内で稼いだトークンを取り扱うDEX(ノンカストディアルの暗号資産交換サービス)が必要。

また、NFTとして提供されるアイテムを取り扱うNFTウォレットも必要だ。その点、ポリゴンにはチェーン上の他システムとの連携を簡単にする「カルチャーレゴ」という仕組みがあり、DEXやウォレットなどとの連携がよりスムースに進められる利点があるという。

ポリゴンの利用は国内外で進んでいる。最大のNFTマーケットOpenSeaや、メタバースのDecentraland、InstagramでもポリゴンNFTはサポートされている。国内ユーザー企業にはSBIホールディングスや、音楽配信サービスのレコチョクなどが含まれる。

ポリゴンのエコシステムでは19000以上のdAppsが開発されている。DeFi Llamaによると、現在の預かり資金(TVL)は17.2億ドル(2300億円)相当にのぼっている。

今回の開発者イベントはすでに定員を超えた。参加希望が叶わなかったケースもあったようだ。会場にはどんな精鋭が集うのか。日本からWeb3の新世界を切り開くサービスが誕生する瞬間となるのかもしれない。

|テキスト:渡辺一樹
|編集:佐藤茂
|トップ画像:Polygon Tokyo Hacker Houseより