ビットコインは11年ぶりの月間下落率、トレーダーの反応は?

ビットコイン(BTC)は6月、約37%下落し、2009年のスタート以来2番目の月間損失となった。CoinGeckoのデータによると、6月1日には3万1000ドルを超えていたが、月半ばに1万7700ドルまで下落、その後回復して1万9209ドルで6月を終えた。

この月間下落率は、2011年8月に記録した38.6%の急落に次ぐもので、ビットコインは2017年の最高値を下回る水準となっている。

6月の下落は、マクロ経済センチメントの低下、インフレ懸念、そして暗号資産レンディング大手セルシウス・ネットワーク(Celsius Network)の債務超過懸念、暗号資産ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタルの破産申請といったエコシステムにおけるシステミック・リスクの中で発生した。

システミック・リスク:個別の金融機関の支払不能等や、特定の市場または決済システム等の機能不全が、他の金融機関、他の市場、または金融システム全体に波及するリスクのことをいいます。(出典:日本銀行)

「下落は多くの要因で引き起こされた。例えば、新型コロナウイルスとロシアのウクライナ侵攻によるインフレ上昇への各国の中央銀行の対応などの金融政策が要因となった」と暗号資産投資会社Centurion & Coの会長、アリ・カサブ(Ali Kassab)氏はコメントした。

さらに「テラ(Terra)の崩壊からスリー・アローズ・キャピタルの破産、相次ぐレイオフまで、暗号資産業界の悪い流れがビットコイン価格を圧迫した」と指摘、7月は機関投資家が「資産に注ぎ込み、良い価格パフォーマンス」を作り出すと予想していると付け加えた。

価格は「レンジ」に

ビットコインは短期的にかなり狭いレンジ取引になると予想する人もいる。レンディングプラットフォームSmartFiのクリス・テリー(Cris Terry)氏は「トレーディングデスクの感触では、ビットコインが1万8000ドル〜2万ドルにとどまるなら、長引くだろう。数週間続く可能性がある」と語った。

先週初めに開催された欧州中央銀行(ECB)の年次総会は、投資家の利上げ懸念を再燃させた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、インフレ抑制のために金利を引き上げるという姿勢を改めて強調した。

年次総会でパウエル議長は、金利上昇がアメリカ経済を景気後退に追いやる可能性よりも、インフレがもたらす問題を懸念していると述べた。

ロイターによると、パウエル議長は、FRBは金利を急速に引き上げる必要があり、緩やかな引き上げは消費者に価格上昇が持続すると感じさせる可能性があると述べたという。

底値を探る動き

こうした見通しから、ビットコインはまだ底を打っていないと見る人もいるが、多くは最終的には回復して新なた最高値まで上昇すると楽観視している。

「ビットコインはまだ底を打っていないと考えているが、強気相場が戻ってくることは間違いない。価格が低いうちに購入し、長期保有することをおすすめする。次の強気相場では少なくとも10万ドルになるだろう」と暗号資産取引所ZBXの創業者ジミー・ジャオ(Jimmy Zhao)氏はコメントした。

ビットコインを安値で取得し、次のサイクルまで保有することは、業界の他の人々も共有する心理だ。

「指標は、市場が極端な恐怖にあることを示している。一部の長期保有者は投げ売りし、企業は債務不履行に陥っている。だが今回の弱気サイクルは最初でも最後でもなく、優れた長期運用計画を持つ人々は、次の強気相場に向けて準備するチャンスと捉えている」と暗号資産取引所AAXのアントン・グリン(Anton Gulin)氏は述べた。

「誰かが売れば、必ず誰かが買っている。今後数カ月は流動性の変化が続き、M&Aが相次ぐだろう」とグリン氏は付け加えた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:What Traders Are Saying About Bitcoin’s Biggest Monthly Loss in 11 Years