大手ソーシャルメディア、フェイスブック(Facebook)の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」が2019年6月に発表された際には、すでに28の創設パートナーがいるとされていた。しかし、クレジットカード大手ビザ(VISA)のCEO兼取締役会長、アルフレッド・ F・ケリー・ジュニア(Alfred F. Kelly)氏によると、必ずしもそうとは言えないようだ。
7月23日(現地時間)に開かれた2019年第3四半期収支報告の中でケリー氏は、ドイチェバンクセキュリティーズ(Deutsche Bank Securities)のアナリスト、ブライアン ・C・キーン(Bryan C. Keane)氏からの、ビザのリブラプロジェクトへの関与についての質問に答えた。
キーン氏は、「フェイスブックのリブラについて質問したいのですが、リブラをどう捉えるべきなのかという点について、市場には多少の混乱があります。ビザにとってリブラは戦略的パートナーですか?それとも、ディスラプティブな脅威を秘めた存在ですか?あなたの考えと、ビザがどの程度リブラに関与すると関与すると想定されているのか興味があります」と尋ねた。
ケリー氏は、ビザのリブラへの関与に重きを置かずに、「事実を理解することが重要です」と答えた。
そして次のように続けた。
「リブラに参加するために法的拘束力のない意向表明書(LOI)に署名しました。関心を示したのは27社だと思いますが、弊社はそのうちの1つです。つまり、どの企業もまだ正式には加盟していないのです」
リブラを運営するコンソーシアム、リブラ協会(Libra Association)のローンチ・パートナーである28社には、ビザだけでなくクレジットカード大手のマスターカード(Mastercard)、オンライン決済サービスを提供するペイパル(PayPal)、配車サービスを提供するウーバー(Uber)とリフト(Lyft)、仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase)などが含まれる。
リブラ協会のポリシー・コミュニケーション担当責任者のダンテ・ディスパルテ(Dante Disparte)氏は「このプロジェクトが意味するところは、ビザやマスターカードのロゴが受け付けられるところではどこでも、リブラも同様になるということです」と以前CoinDeskに述べた。「これは、非常に多くの意味で仮想通貨にとって大いなる前進です。そして多くの側面において、(仮想通貨という)アセットクラスの主流化です」
リブラ協会のポリシー・コミュニケーション担当責任者のダンテ・ディスパルテ(Dante Disparte)氏は「このプロジェクトが意味するところは、ビザやマスターカードのロゴが利用できるところであれば、どこであろうとリブラも後に続くということです」と以前CoinDeskに述べた。「これは、色々な意味で仮想通貨にとって大いなる前進です。また、多くの点において、(仮想通貨という)アセットクラスの主流化です」
今後、ビザがリブラに完全に参画するという決断は、「当たり前ですが、リブラ協会が必要な規制要件を全て満たすことができるかという点を含む、いくつかの要素」によって決められる、とケリー氏は述べた。
同氏が指摘した通り、6月中旬にリブラのホワイトペーパーが発表されて以来、世界中の規制当局がリブラが金融の安定やユーザーのプライバシーにもたらす影響に懸念を抱いており、フェイスブックにリブラの仕組みに関するさらなる情報を求めている。
ケリー氏は、リブラが「本当に、本当に初期の段階」にあり、最終決定される必要のある点がいまだに多くあることを強調した。しかし、フェイスブックに対して前向きな発言で締めくくった。
「しかし言うまでもなく、関心を示したからには、リブラ協会に付加価値をもたらし、役立つことができると本当に信じています」
翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Visa image via Shutterstock
原文:Facebook Libra Backers Are Not Official Partners Yet, Says Visa CEO