分散型音楽ストリーミング「Audius」は業界のパワーバランスを変える:バンカメ

分散型音楽ストリーミングプラットフォーム「Audius」はアーティストに大きな利益とパワーをもたらすと、バンク・オブ・アメリカは21日に発表したレポートで述べた。

Audiusは2020年10月にメインネットがスタート、その目的は「パワーと利益のバランスを、レコード会社、中央集権型デジタルサービスプロバイダー(DSP)のような中間業者から、アーティストとユーザーにシフトさせること」とレポートは記している。

中間業者を排除することで、収益の90%をアーティストに、10%をノードオペレーターに分配する計画で、その結果として「パワー、利益、コントロールとガバナンスをレコード会社や中央集権型DSPから、アーティストとファンにシフトさせる」という。

Audiusは先週、クリエーターがコンテンツをマネタイズできる新機能を提供すると発表。ガバナンストークン「AUDIO」を使って、リスナーからチップを受け取ることができるようになる。

音楽業界のディスラプション(創造的破壊)

音楽業界は、ディスラプション(創造的破壊)が迫っているとバンク・オブ・アメリカは述べた。Audiusの普及度合いや、大規模DSPに比べて音楽コンテンツが限られていることから、「短期的なディスラプション」は限定的になるだろうが、長期的なディスラプションは可能性がある。

課題は競争と同行は指摘。大手DSPはレコード会社を通じてさまざまな音楽サービスを提供し、個人データを活用してUX(ユーザー体験)を改善することで、自社ビジネスのまわりに「経済的な堀」を築いている。

一方、Audiusのような小規模DSPはジレンマに直面している。つまり、普及のためにはアーティストを集めることが不可欠だが、アーティストを集めるにはユーザーが必要になる。

Audiusは、デッドマウス(deadmau5)、ディプロ(Diplo)、スクリレックス(Skrillex)、ウィーザー(Weezer)などの、著名アーティストを集めているが、利用率の伸びは2021年12月から鈍化しているという。また、著作権を侵害しているコンテンツを削除できないことに関する潜在的な法的リスクも無視できないと同行は述べた。

Audiusは24日、ハッキングを受けて、110万ドル(約1億5000万円)相当のガバナンストークン「AUDIU」が不正流出したと発表した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk archives
|原文:Decentralized Music Streaming Service Audius Shifts Balance of Power, Says Bank of America