「米連邦準備制度理事会(FRB)は紙幣を増刷し続けている」と、あるビットコイン支持者は語った。そして、「インフレに対する最善の防御策はビットコインだと思う」と。
その男は、暗号資産(仮想通貨)をしっかり理解している口ぶりだった。ビットコイン(BTC)カンファレンスの登壇者のようだった。彼は、ビットコインカンファレンスで講演をしたことがある、アメフト殿堂入りが見込まれるグリーンベイ・パッカーズのクオーターバック、アーロン・ロジャース氏なのだ。
そしてCoinDesk初の、暗号資産(仮想通貨)スポーツオールスターの一員にも選ばれた。
堅実な布陣だ。エリートNFLクオーターバックからテニス選手、サッカー選手まで、自律分散型金融の力を信じる人たちで構成されている。メンバーは10人に限り、恣意的に選んだ。それでも、暗号資産がどれほど深く、メインストリームスポーツの世界に染み込んでいるかを感じ取れるだろう。
さらに投資のリターンについても、彼らが選んだプロジェクトに発表時に1000ドルを投資していたら、どれほどの利益、あるいは損失を出していたかも算出してみた。
それでは早速、チームメンバーのお披露目といこう。
1. チームキャプテン:トム・ブレイディ
ブレイディ氏がビットコイン(BTC)に呪いをかけたのだろうか?ビットコイン価格が5万8000ドルほどだった2021年5月9日、NFLチームのタンパベイ・バッカニアーズのクオーターバックだったブレイディ氏は、ツイッターアバターに、ビットコイン支持を表明する「レイザーアイ」を追加。すると価格は、3万ドルまで低下した。「レイザーアイはうまくいかなったみたいだ」と、彼も認めたくらいだ。
それでも彼は、暗号資産取引所FTXのコマーシャルに出演。売り出したNFTコレクションは、発売わずか10分足らずで完売。彼と妻は現在、FTXの株式を保有し、ブレイディ氏は、1月に1億7000万ドルの資金を調達したNFTプラットフォーム「Autograph」を共同で立ち上げた。
とりわけ微笑ましいエピソードは、イーサリアムの生みの親ヴィタリック・ブテリン氏が、ブレイディ氏が誰か知らないと言った時。「やあ、ヴィタリック!私のことは知らないかもしれないけど、あなたの大ファンだと伝えておきたかった」とツイートしたのだ。
2. リオネル・メッシ
ファントークンウェブサイト「Socios.com」を開けると、最初に目につくのは、アルゼンチンのサッカー選手リオネル・メッシ氏の顔写真だ。微笑みながら、Sociosアプリが表示されたスマートフォンを誇らしげに掲げている。
メッシ氏が微笑んでいるのも当然だ。Sociosの広告をするために、2000万ドルもの契約を結び、「世界中のファンがもっとつながり、もっと報われる未来を作りたかった」と説明した。少なくとも彼にとっては、より報われる未来となっている。
3. セリーナ・ウィリアムズ
テニス界の伝説的存在である彼女は、単に暗号資産に興味があるだけではない。2022年にマイアミで開かれたビットコイン・カンファレンスでは、ビットコインが「超強力な投資」だと考えており、自身のベンチャーキャピタル「セリーナ・ベンチャーズ」が、ビットコイン報酬スタートアップ「Lolli」に投資したと明かした。「ビットコインを獲得し、所有することは、あらゆる人にとっての金融包摂へ向けたステップ」と考えているからだ。
4. フロイド・メイウェザー・ジュニア
新規コイン公開(ICO)ブーム真っ盛りの2017年。インスタグラムで、伝説の元ボクサーが(予測市場プロジェクトの)「Stox.comのICOで、8月2日にメチャクチャ大儲けする」と世界に向けて宣言していた。世界は困惑した。ICOって一体なんだ?なんのことを言っているんだ?と。
その後投稿は削除されたが、メイウェザー氏はそれからも、さらに多くのICOを宣伝し、「Ethereum Max」を宣伝するTシャツを着て、ビットコインカンファレンスでは大きなブーイングを受けた。そして世界に向けて、シンプルなリクエストを1つ。「フロイド・クリプト・メイウェザーと呼んでくれ」と。
5. ジェシカ・ペグラ
世界ランク第7位の女子テニスプレイヤー、ペグラ氏は2021年3月、女性アスリートとして初めてNFTコレクションをリリース。「女性アスリートにとって、とてもクールでひと味異なる手段」だと語った。
「時には賭けに出ることも必要」で、「より多くのアスリートや女性たちが後に続くようインスピレーションを与える」ことを望んでいるのだ。
6. アーロン・ロジャース
「私はビットコインを信じているし、未来は明るい」と、ロジャース氏は2021年にツイート。「だから私は、Cash Appとチームを組んで、給料の一部をビットコインで受け取る」のだと。
さらにロジャース氏は、ビットコイン価格が月に届くほど高騰して、皆が一緒に月に行けるように、Cash Appと共同で100万ドル相当のビットコインをプレゼントするとも表明した。
7. スペンサー・ディンウィディー
NBAチームのダラス・マーベリックスでプレイする傍ら、ディンウィディー氏はソーシャルトークンプラットフォームのCalaxyを共同創業。2018年10月以来、ビットコインに対して強気であることを公表している。NBAの契約をトークン化しようと試みたこともある。先見の明のある男だ。
8. ミーガン・ラピノー
多様性や公平さを長年支持してきたサッカー選手のラピノー氏は、デジタルトレーディングカード「The Collective Series」のリリースによって、女性アスリートをNFT市場へと呼び込む一助となった。
このコレクションには、スケートボーダーのマリア・デュラン氏、フェンシング選手のイブティハージ・ムハンマド氏、ANBAのスー・バード氏なども含まれる。ラピノー氏の天性のカリスマは強力で、ある女性ライターに、「私のようなファンに、暗号資産購入を検討することを余儀なくさせる」と言わしめた。
9. ラッセル・オクング
2019年5月、流行するはるか前に、当時ロサンゼルス・チャージャーズの選手であったオクング氏は、「ビットコインで支払ってくれ」とシンプルなツイートをした。それを受けた暗号資産関連のツイッターアカウントたちは、大喜び。そしてオクング氏の望みは叶えられた。
NFLプレイヤーとしては初めて、給与の半分をビットコインで受け取っただけではなく、教育キャンペーン「Bitcoin Is」の立ち上げに手を貸し、テスラのイーロン・マスクCEOとマイナーのエネルギー使用量について議論となり、「宇宙に専念しろ、イーロン」との広告まで出した。
10. ステフィン・カリー
FTXのコマーシャルで、NBAチーム、ゴールデンステート・ウォリアーズのカリー氏は、暗号資産の専門家ではないと言い張る。そうかもしれないが、FTXの株式を取得するほどには精通していた。3000のスニーカーNFTをリリースし、Bored Apeを購入。そのApeを自分のツイッターのプロフィール画像に使っていたほどだ。
彼のチームメイトも暗号資産に入れ込んでいる。クレイ・トンプソン氏とアンドレ・イグダーロ氏は、ビットコインで給与の一部を受け取り、ウォーリアーズもFTXとNFTパートナーシップ契約を結んだ。
|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
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|原文:10 Crypto Sports All-Stars