オーストラリア最大の通信会社テルストラのVC部門、テルストラベンチャーズ(Telstra Ventures)は、ステーブルコインterraUSD(UST)の崩壊、暗号資産レンディング企業セルシウス(Celsius)の破産申請、暗号資産ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)の清算によって引き起こされた弱気相場にもかかわらず、ブロックチェーン開発者のWeb3への関心は依然として堅調とするレポートを発表した。
「Blockchain Open-Source Developers Signal Strength of Web3 Community」というタイトルのレポートは、イーサリアム、ビットコイン、ソラナの各ブロックチェーンにおける開発者の動きを調査したもの。アナリストは、3万以上のオープンソースプロジェクトにかかわっている1000組織を調査した。
「開発作業への毎月のアクティブ・コントリビューター(貢献者)数を見ると、過去数カ月、暗号資産価格が大幅に下落しているにもかかわらず、(貢献は)全般的にかなり強いまま」とテルストラベンチャーズのゼネラルパートナー、サード・シディキ(Saad Siddiqui)氏はコメントした。「イーサリアムとビットコインは、開発者の動きが最も活発だった。ソラナは多少減少したが、価格の下落ほどではない」。
Web3コントリビューターの成長
テルストラベンチャーズは、各チェーンのコントリビューター・コミュニティの成長を4年間の年平均成長率(CAGR)で割り出し、次に暗号資産の昨年の価格ピーク時からの月間アクティブ・コントリビューター数の変化を調査した。
イーサリアムのコントリビューター・コミュニティのCAGRは約25%、ソラナは173%、ビットコインは17%。月間アクティブ・コントリビューター数は、イーサリアムとソラナの2021年11月の価格ピーク時から、イーサリアムは9%、ソラナは21%減少。ビットコインは、10月のピーク時から8%以上増加となった。
「私の感覚では、ビットコインとイーサリアムのコミュニティはすでに長期間存在しており、以前にもこのような低迷を経験している。困難な時期を乗り越えてきた開発者と貢献者が存在し、構築を続けている」と同VCのデータサイエンスグループを率いるジョナサン・サーファティ(Jonathan Serfaty)氏は語った。
開発者の傾向
レポートは、Web3開発者で最も人気の分野を明示してはいないが、シディキ氏はアプリケーション開発を支援するツールプロジェクトの好調さを指摘した。
「ブロックチェーンの世界では、一般的に3種類のアプリケーション開発が行われていると考えている。1つ目は、既存システムの再発明。2つ目は、既存企業や伝統的企業が社内のユースケースにブロックチェーンを活用し、新たな収益源を見出そうとするもの。3つ目は、暗号資産ネイティブのためのブロックチェーンアプリケーションだ」(シディキ氏)
またレポートは、ベンチャー投資家と企業投資家が、3つのブロックチェーンで最も活発な10のプロジェクトのうち、7つに投資していると指摘した。先月発表されたCrunchbaseのデータによると、暗号資産企業へのVC投資額は2022年上半期、前年比26%減となった一方で投資件数は増加している。つまり、小規模な投資が増えている。
5月に45億ドルという大規模な暗号資産ファンドを立ち上げた大手VCのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は、暗号資産価格の下落はイノベーションをもたらすとする「価格イノベーションサイクル」を提示している。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Web3 Development Remains Strong Despite Crypto Downturn: Report