ニコラス・マドゥロ(Nicolás Maduro)大統領率いるベネズエラ政府は、経済制裁を回避するための広範な取り組みの一環として、税収と仮想通貨を活用しているようだ。スペイン紙ABCによる調査報道によって明らかとなった。
2019年7月22日付の同紙の報道によると、マドゥロ大統領とその側近たちが、デジタルウォレットアプリを利用して国内空港からの税収をビットコインやその他の仮想通貨に変え、その後に香港やハンガリー、ロシアなどにある取引所に移していた。
報道によれば、資金は取引所において両替されて、ベネズエラへと送り返されていたという。
マドゥロ政権がアメリカの銀行口座の利用や国際市場への参加を禁止されていることによって、ドル獲得の手段として仮想通貨に目を向けることを余儀なくされたことを示す例だ。
問題となっている税収は、首都カラカスの近くにあるシモン・ボリバル国際空港(IAIM)で得られたもので、航空関連の支払い用アプリ「ジェットマン・ペイ(Jetman Pay)」と連動する自動システムを通じて集められたもの、とABC紙は指摘している。
マドゥロ政権は、IAIMを利用する航空機の燃料補給によって得られる収益を含め、同アプリの利用を広げるための交渉を進めているとされている。
まだ署名前とされる契約だが、ジェットマン・ペイのアプリは、アメリカによる禁止に直接対抗するために利用されることになる。その構想によれば、航空機がIAIMに着陸すると、燃料と交換にアプリで法定通貨が送金される。そして石油・天然ガスを取り扱うベネズエラ国営石油会社(PDVSA)がアプリを利用して政府に税金を支払い、そこからその税収が仮想通貨として国外に送られる。
自動システムは、2018年2月より空港税徴税のためにIAIMで利用されている。
マドゥロ大統領がこの構想を国内の別の空港にも拡大することを目論んでいるのではないかという推測で、ABCの報道は締めくくられている。
翻訳:山口晶子
編集:佐藤茂
写真:ベネズエラの首都カラカス(Shutterstock)
原文:Venezuela Turned Airport Taxes Into Bitcoin to Avoid Sanctions: Report