「Merge」は複数の成果をもたらす──取引速度10%向上:米銀シティ

イーサリアムブロックチェーンのPoS(プルーフ・オブ・ステーク)移行「Merge(マージ)」は、複数の成果をもたらすと米銀大手シティグループが4日発表したレポートで述べた。

エネルギー消費の低下、デフレ資産への移行、そして「シャーディングを通じた、よりスケーラブルな未来へのロードマップ」などがもたらされるという。

マージは、予定されている5つのアップグレードのうちの最初の1つであり、ブロック生成時間を短縮することでトランザクション速度を10%向上させる可能性があるとレポートは述べた。そしてマージは、10万トランザクション/秒(TPS)の能力をもたらす次のアップグレード「Surge(サージ)」への道を開くものとレポートは付け加えた。

マージによってブロック生成時間が13秒から12秒に短縮され、その結果、取引手数料は若干低下し、取引速度は向上する可能性があるという。

シティグループは、PoS移行により、ネイティブ暗号資産イーサリアム(EHT)の発行量は年間4.2%減少し、いずれデフレ資産となることから、価値保存の手段としての可能性が改善されるだろうとしている。

PoS移行により、イーサリアムはキャッシュフローを伴う「利回り資産」となり、ネットワークの収益をもたらす可能性があると同行は述べた。キャッシュフローを持つことで、現在は適用できないさまざまな評価方法が利用できるようになるとしている。

イーサリアムブロックチェーンは利回りとデフレの両方が生まれるため、最も高い処理能力を持つ可能性は低くなる。だが「価値保存の性質が強化されること」を考えると、TVL(total value locked)は増加していくという。

マージにより、イーサリアムブロックチェーンはエネルギー消費が99.95%減少すると予想されており、エネルギー効率が高く、環境に優しい暗号資産と見なすことができるようになるとレポートは述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Citi: Ethereum’s Merge Will Have Several Consequences for the Blockchain