ソラナの信頼性向上に取り組むJump Crypto──TradFiでの経験をブロックチェーンに

シカゴに拠点を置くTradFi(伝統的金融機関)大手Jump Trading Groupの暗号資産(仮想通貨)部門Jump Cryptoは、ソラナ(Solana)ブロックチェーンのバリデータクライアントを新たに開発し、頻繁な停止やスローダウンに悩まされてきたネットワークのスループットと信頼性を高めようとしている。

さらに8月16日に発表された声明によると「ソラナのコアソフトウェアの重要なアップグレードを提案する」という。

昨年、大きな期待を集めたソラナ

ウォール街やJump Tradingのような伝統的金融機関にとって、ソラナはDeFi(分散型金融)の基盤となっているイーサリアムや他のブロックチェーンとは異なり、株式やデリバティブのような従来の取引の信じられないほど速いスピードに対応できると考えられ、昨年は大きな注目を集めていた。しかし、状況は必ずしも期待に沿うものではなかった。一方、新しいブロックチェーンがソラナのシェアを脅かしている。

「Jumpは、20年以上にわたってネットワークを拡張し、高いパフォーマンスのソフトウェアシステムを構築してきた、比べることのできない経験を持っている。同社のソラナネットワークへの貢献は、ミッションクリティカルなシステムを改善し、ネットワークが何十億ものユーザーに対応できるようスケールアップすることをサポートしてくれる」」とソラナ財団のエグゼクティブディレクター、ダン・アルバート(Dan Albert)氏は声明で述べた。

プロジェクトを統括するのはJump Tradingのチーフ・サイエンス・オフィサー、ケビン・バワーズ(Kevin Bowers)氏。歴史あるプログラミング言語C++を使ってバリデータクライアントを開発するという。

今回の取り組みは「ネットワークの継続的な分散化の重要なステップ」と16日の声明でJump Cryptoは述べている。

Jumpは、プロジェクトが単一の企業に依存し過ぎることのリスクを直接経験している。今年初めにハッキングされたブロックチェーンブリッジ、Wormholeを運営しており、3億2000万ドル(約427億円)のハッキング被害をカバーするために資金を提供した。

この1年、Jumpは、トレーディングという枠組みを超えて、ソラナや他のレイヤー1ブロックチェーンのインフラの重要な部分の開発に乗り出した。シカゴの取引所からスタートした同社は、20年以上にわたって電子取引の最前線を担ってきた。株式やデリバティブなどの市場インフラを構築してきた企業の1つだ。

苦境にあるソラナ

ソラナブロックチェーンは苦境にある。6月には4時間以上もネットワークが停止する大規模な障害が発生し、8月初めには数千人のウォレットに影響を与える500万ドル相当のハッキングが発生した。

暗号資産ソラナ(SOL)は今年75%下落し、イーサリアム(ETH)から安値から2倍以上になっているにもかかわらず、ここ数カ月は横ばいで推移している。

だがJumpは、ソラナに注力しているようだ。とはいえ、同時に「ソラナキラー」ともいわれる新しい注目のブロックチェーン、Aptosにも注力している。

「Jumpのエンジニアがネットワークに新たな見通しをもたらし、ネットワークの回復力と効率性を向上させることを期待している」とソラナの共同創設者アナトリー・ヤコヴェンコ(Anatoly Yakovenko)氏は声明で述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Jump Crypto Picked to Revamp Solana to Make Blockchain More Reliable