今月初め、一部の暗号資産(仮想通貨)取引所は、ETHPOWの上場を急いだ。ETHPOWは、イーサリアムブロックチェーンがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行した後に、フォーク(分岐)して誕生する可能性のあるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)チェーンおよびそのネイティブトークン。正式リリース前でも新しいトークンに投機したいトレーダーがいるだろうと取引所は期待していた。
取引が始まって1週間以上が経過、トレーダーの意欲は薄れ、そうした取引所の期待も消え去ったようだ。
CoinMarketCapによると、ETHPOWの価格は当初の高値140ドルから50ドルに下落。1日あたりの取引高も1300万ドルから400万ドルと約70%減少している。ETHPOWを上場した2つの取引所、PoloniexとBitMEXの取引データも価格の下落と関心の低下を示している。
こうした動きは、フォークの予測不可能性を浮き彫りにし、投資家の関心がいかに気まぐれかを表した。
ETHPOWへの疑問
イーサリアムブロックチェーンは、PoS移行「Merge」が迫っている。PoSに移行すると、イーサリアムマイナーはその収益源を失う。
一方、そうした状況に対応して、著名なイーサリアムマイナーで投資家のチャンドラー・グオ(Chandler Guo)氏は、ハードフォークによってイーサリアムブロックチェーンの複製を作成し、PoWチェーンでのマイニングを維持することを提案している。チェーンがフォークされると、すべてのイーサリアム保有者は、保有するイーサリアムと同じ数のETHPOWを受け取ることになる。
BitMEXのアナリストは今月初め、ETHPOWは「多くの興奮を生む可能性がある」と述べ、ETH/ETPOWは「分岐後の人気取引ペアになるだろう」と予想した。
しかし、取引所への上場とトロン(Tron)の創設者ジャスティン・サン(Justin Sun)氏のサポート以外、ETHPOWはまだ大きな勢いを生んでいない。フォークしたPoW版イーサリアムブロックチェーンがどのようなアプリケーションをサポートするか、いかにしてユーザーを生み出していくかについての情報は乏しい。
「コア機能に関する適切な詳細情報はほとんどない」とFundstratのアナリスト、ウォルター・テン(Walter Teng)氏はコメントした。
ステーブルコイン発行者はETHPOWを全面的に、あるいは部分的にサポートするのだろうか? DeFi(分散型金融)開発者はETHPOW上でのプロダクト開発を維持するだろうか? NFTはどう扱われるのか?
「これらはMerge後のPoWチェーンの価値を左右する重要な質問だが、まだ答えがないままだ」
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Coinmarketcap
|原文:Buzz Over Potential Ethereum Hard Fork Token Fizzles as Price Tanks