ブロックチェーン技術を活用して、単一不動産のデジタル証券化を進める大手不動産運用会社のケネディクスが、国内では最大となる69億円規模のSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)を行った。
STO:デジタル証券はブロックチェーン上で発行される有価証券。セキュリティトークン(ST)と呼ばれ、不動産や動産、社債などに裏付けられる投資資産で、従来の不動産の投資信託とは異なり、個人投資家は単一の不動産に小口投資できる。
ケネディクスが今回手がけたSTOでは、146億円の資産規模を持つ神奈川県厚木市の物流施設を裏付け資産として、総額69億1500万円の資金を調達した。8月10日~16日の期間、一口100万円で6915口を個人投資家に販売した。同社が8月19日に発表した。
ケネディクスは、三菱UFJ信託銀行を受託者とする不動産信託「ケネディクス・リアルティ・トークンロンコプロフィットマート厚木I」を組成して、不動産証券を発行。大和証券が主幹事で、三菱UFJ信託銀行が開発したブロックチェーン基盤のプラットフォーム「プログマ(Progmat)」で管理される。
同信託の運用期間は約7年で、投資家への分配金利回りは年4.2%。今回裏付け資産となった物流施設は、国内の上場企業のグループ会社が中心に利用しており、安定的な賃料収入が期待できるという。
ケネディクスが手掛けた不動産STOとしては今回が3つ目となる。同社は、不動産STの国内市場が2030年までに2.5兆円に拡大すると予想しており、同事業の拡大を進める。また、海外の不動産を対象とするSTOも検討している。
|編集:佐藤茂
|トップ画像:神奈川県厚木市の物流施設/ケネディクス提供
|編集部より:投資家への分配金利回りの率を訂正し、記事を更新しました。