創業200年超のパスポート印刷会社、ハードウエアウォレットを発売

1800年代初頭に創業されたオーストリアの老舗印刷会社が、仮想通貨ストレージデバイスを発売した。

この新しいハードウエアウォレットは、ウィーンに拠点を置くオーストリア国家印刷所 (Oesterreichische Staatsdruckerei=OeSD)の子会社、ユーニックス・アイデンティティー(YOUNIQX Identity)から発売される。OeSDはハイテクパスポート製造会社で、その他のセキュアIDソリューションも提供している。

「チェーンロック(Chainlock)」と名付けられたこのデバイスは、オンライン上で管理される、ホットウォレットのハッキングに対する脆弱性に対処することを目的としている。OeSDは2019年7月29日(現地時間)の発表で、「このような脆弱性はセキュリティ上の大きなリスクだ」と述べた

OeSDによると、この「100%オフライン型」ウォレットは、特許出願中の高セキュリティー・エンクレーブで秘密鍵を生成するため、たとえユーニックスやOeSDの従業員であっても、外部からは一切鍵を見ることができないという。

ウォレットはアプリで管理できるが、インターネット、WiFi、NFC経由での秘密鍵への不正アクセスからは安全だと同社は主張している。また、「クリプトロッカー(CryptoLocker)」のような仮想通貨を盗むマルウエアは、デバイスのキーにアクセスできない。

チェーンロックは、クレジットカード状のプラスチックで、同社によると耐水・対熱性がある。また、ウォレット内のコインがフォークされた場合、新しいコインはカード所有者に与えられる、とも同社は付け加えている。

OeSDは元々ハイテク紙印刷業者だったが、最近では、ハイテクな身分証明やセキュリティ製品に参入しており、YOUNIQXはその一部を開発するために設立された。YOUNIQXは、ビデオチャットを用いた本人確認サービス「マイ・アイデンティティー・チェック(My Identity Check=MICK)」や、ID管理プラットフォーム「マイ・アイデンティティー・アプリ(My Identity App=MIA)」をすでにローンチしている。

チェーンロックは、オーストリアに拠点を置くスタートアップ、コインフィニティー(Coinfinity)から入手することができる。チェーンロックの不正防止機能のいくつかは、新型のパスポートや法定通貨と類似しており、同製品は、ホログラム、一連のカラーグラデーション、触覚的テクスチャ、UV・赤外線可視パターン、そして両面にマイクロプリントなどを備えている。

チェーンロックの価格は付加価値税(VAT)込みで59.99ユーロ(約7200円)。現時点では、ビットコインにのみ対応している。

翻訳:新井朝子
編集:町田優太
写真:Wallet image via Coinfinity
原文:200-Year-Old Passport Printing Firm Launches Hardware Crypo Wallet