FRB(米連邦準備制度理事会)の取り組みによって、リスク資産価格は引き下げの動きが強まってさえいるが、暗号資産のトップアナリストは、ビットコイン(BTC)上昇に逆張りするには今が良い時期かもしれないと述べている。
「いくつかのシグナルは、下落が短期的に行き過ぎていることを示している。短期的な逆張りにとって魅力的」とアーケーン・リサーチ(Arcane Reaserch)のアナリスト、ベトル・ルンダ(Vetle Lunde)氏は月末のレポートに記した。
米暗号資産運用会社ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のリサーチ責任者アレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は、もう一段の下落があったとしても、この厳しい時期にビットコインを買ったトレーダーは早ければ1カ月以内に利益を取り戻すことができると述べた。ビットコインが突然下落した場合、1万7000ドルが強いサポートになるという。
「マクロ経済的要因や金融引き締めによって、ビットコインは短期的に下落する可能性があるものの、テクニカルとファンダメンタルの双方のいくつかの理由から、機会を捉えた購入時期と見るべき」
暗号資産市場は、高インフレと金利上昇のなかで、株式や債券などの伝統的金融市場とともに、厳しい1年を過ごしている。ビットコインは年初から60%近く下落し、暗号資産全体の時価総額は昨年11月の3兆ドル近いピークから1兆ドルを割るところに落ち込んでいる。
暗い経済の先行きと、パウエルFRB議長が先週、積極的な利上げ姿勢を表明したにもかかわらず、暗号資産市場の多くの指標は、価格が魅力的な購入チャンスとなっている可能性を示している。
歴史的な購入機会
ビットコインは現在、200週移動平均を下回っている。ビットコインの歴史のなかで、これは価値ある購入チャンスを表しており、過去に4回しか起きていない。2015年の弱気市場の間に2回、2018年〜19年にかけてお低迷時、そして2020年の新型コロナウイルス感染拡大による下落だ。
このタイミングでビットコインを購入したトレーダーは、1カ月以内にプラスのリターンを得ている。
「これまで、ビットコインが200週移動平均線を下回ったときは、有利な購入チャンスであることが証明されている」とソーン氏は記した。
短期的な痛み
市場ではしばしば、大多数のトレーダーが一方に賭けると、価格は逆方向に向かう。
多くの暗号資産トレーダーはビットコインのさらなる下落を予想しているが、悲観論が強くなりすぎているかもしれない。
例えば、1日あたりのオフショア先物平均ベーシスは、2020年3月の新型コロナウイルス感染拡大による下落以来のマイナスとなっている。
アーケーンによると、ビットコインの下落から利益を得るProShares Short Bitcoin ETF(BITI)は、ここ数週間で大きな資金流入があった。一方、他のビットコインファンドはほとんどが資金流出となっている。
ビットコイン先物は現在、逆ザヤとなっている。これは売り手が市場を支配していることを意味する。永久スワップの資金調達率もマイナスに転じ、ここ2週間はその状態が続いている。一方、建玉は2021年12月以降、ほぼ途切れることなく増加している。
「誰もがヘッジしており、ショートトレードは積み上がっているようだ。ビットコインやイーサリアムなどのロングは、魅力的に思える」とルンダ氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Arcane, Skew
|原文:Bitcoin Traders’ Outlook Is So Bleak That Some Analysts See Buying Opportunity