ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は1日、どちらも下落し、当面は横ばい推移となりそうなレンジに落ち着いた。
ビットコインは1%下落し、一時、心理的に重要な2万ドルを割った。約1週間、2万ドルをめぐる展開となっている。イーサリアムは1.5%上昇。ここ数日、基本的に横ばいで推移している。
グローバルマクロでは、米労働省が1日に発表した新規失業保険申請件数(8月27日までの週)は23万2000件、予想の24万8000件を下回った。継続受給件数は144万件で、予想と一致した。
暗号資産にとって、予想を上回る雇用統計も強気の動きにはつながらないだろう。FOMC(米連邦公開市場委員会)のインフレ抑制への強い決意を踏まえると、堅調な雇用データは消費者需要の増加につながりそうだ。雇用の強さによって、物価が上昇する可能性は高い。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchを見ると、9月21日に開催される次回のFOMCで金利が0.75%引き上げられる確率は、前日の69%から72%に上昇した。
株式市場はまちまち。ナスダックは0.3%下落、ダウ平均は0.46%、S&P500は0.30%上昇した。
コモディティでは、原油は3日連続で下落し、3.7%下落。天然ガスは0.61%上昇、ゴールドは1%下落した。
アルトコインもまちまち。ポリゴン(MATIC)は4.5%上昇、一方、メーカー(MKR)は2.8%、ソラナ(SOL)は2.7%下落した。
最新価格
●ビットコイン:20,017ドル、-0.9%
●イーサリアム:1,577ドル、+0.4%
●S&P500:3,966.85、+0.3%
●ゴールド:1,707ドル、-0.4%
●米国10年債利回り:3.26%、+0.1
テクニカル分析
ビットコインは8月27日に始まった横ばいの取引レンジが続いている。過去6日間、2万ドルをめぐる動きとなっているが、トータルではわずか2%の動き。
ビットコインのATR(average true range)は、6月の2065から903まで低下している。ATRは、一定期間の値動きを表すテクニカル指標。ATRの上昇はボラティリティ上昇を示し、ATRの下落(現在の状態)はその逆を示す。
ビットコインのボラティリティの低下は当面、横ばい推移が継くことを示している。
しかしビットコインが割安になっていることは、機関投資家の購入につながる可能性がある。投資会社IDXの最高投資責任者、ベン・マクミラン(Ben McMillan)氏は、現在の状況を潜在的な購入チャンスと呼んだ。
「暗号資産エコシステムでは目に見える進化が起きており、多くの機関投資家は現在の暗号資産の冬を、最終的にテクノロジー株の世代的な購入チャンスとなったドットコムバブル崩壊後の時期と同じと考え始めている」
マクミラン氏は、投資家が他の資産よりも暗号資産に興味を示しているのは、その長期的な見通しが要因のひとつと付け加えた。
「投資家は依然として短期的リスクに注目しているが、他の資産クラスにはない今後の成長可能性を高く評価していることは間違いない」
ビットコインの「Commitment of Traders」を見ると、大口投資家(つまり機関投資家)がロングポジションを取り始めていることがわかる。CFTC(米商品先物取引委員会)が毎週火曜日に発表するこのレポートは、先物市場でのトレーダーのポジションの現状を表す。
小規模投資家のポジションは青、大規模投資家(機関投資家)のポジションは緑。週足チャートを見ると、8月19日に終了した週にビットコインが15%下落したことを受けて、大口投資家がロングポジションに移行していることがわかる。
アルトコイン
●ETHPOW、価格はイーサリアムの1.5%か:イーサリアムブロックチェーンのPoS移行「Merge(マージ)」の後、マージに反対するグループは従来のPoWチェーンをフォークし、ネイティブ暗号資産ETHPOWを誕生させる可能性がある。先物市場のデータから考えると、ETHPOWは18ドル付近でスタートする可能性がある。
●ヘリウム、ソラナブロックチェーンへの移行を提案:ヘリウム財団は、ネイティブ暗号資産、ガバナンス、エコノミーを独自ネットワークからソラナ(Solana)ブロックチェーンに移行することを提案している。移行の理由は複数あるようだが、特にトランザクション速度の速さを上げている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Optuma
|原文:Market Wrap: Bitcoin Struggles to Hold $20K for the Foreseeable Future