イーサリアム(ETH)はテクニカルチャートでは、「Merge(マージ)」を前に価格が上昇する可能性が見られるという。
だが9月5日午前中、投資家は様子見となっている。おそらく、ロシアの国営エネルギー企業ガスプロム(Gazprom)が欧州向け天然ガス供給の再開を無期限延期したことで、インフレが悪化し、各国の中央銀行はさらなる利上げに踏み切らざるを得ないとの懸念が広がったことが原因だろう。
先週、イーサリアムは、8月14日と25日の高値を結ぶ線と、8月10日、20日、28日の安値を結ぶ線からなる下降ウェッジから上抜けした。
「このチャートパターンは、イーサリアムが9月に皆が考える以上に上昇する可能性があることの紛れもなく示している」と暗号資産リサーチ企業Token Metricsのチーフ・テクニカルアナリスト、ビル・ノーブル(Bill Noble)氏はコメントした。
イーサリアムが下降ウェッジから上抜けしたことは、8月14日の高値2000ドルからの調整局面が終わり、6月13日の安値1000ドルからの上昇トレンドが再開される可能性が高いことを示している。
株式市場が落ち着きを取り戻し、イーサリアム開発者のティム・ベイコ(Tim Beiko)氏がMerge(マージ)の期限を9月19日と示したことで、イーサリアム価格は8月14日までの4週間に2倍になった。
下落ウェッジは上端が広く、価格が下落するにつれて2本の線の間は狭くなっていく。間が狭くなることは、底値が近くなり、売り圧力が弱まることを意味する。そのため上抜けは、強気の復活を意味すると考えられている。
「イーサリアムは下降ウェッジから抜け出した。1700ドルを超える動きがあれば、マージに向かう強気モーメントに確信が加わる」とDecentral Park Capitalのリサーチャー、ルイス・ハーランド(Lewis Harland)氏はコメントした。
ガスプロムの懸念
イーサリアムは9月2日、米雇用者数(非農業部門)が堅調な伸びを示したことで、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げペースを遅らせるのではないかとの希望的観測が復活、1700ドルを超える勢いを見せた。
しかし、ガスプロムが2日遅く、技術的な不具合を理由に欧州向けの天然ガス供給の再開を延期したため、上昇は失速。現在は1560ドル付近で横ばいとなっている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TradingView
|原文:Ether Eyes Price Rally After ‘Wedge’ Breakout, But Europe’s Energy Crisis Zaps Risk Appetite