40億ドル超のグーグルへの制裁金、Web3を脅かす:法律専門家

EU(欧州連合)裁判所が9月14日に下した判決は、表面上はグーグルに対する巨額の制裁金を支持したものだが、将来のWeb3オープンソースプロトコル開発者を実質的に束縛するものかもしれないとアムステルダム大学のティボー・シュレペル(Thibault Schrepel)准教授は語った。

欧州委員会は2018年、グーグルと親会社のアルファベットがアンドロイドスマートフォンにグーグル独自の検索アプリをプリインストールすることを事実上強制して競争を制限したとして、43億4300万ユーロ(約43億3600万ドル、約6200億円)という記録的な制裁金を科した。

14日の判決は制裁金を41億2500万ユーロにわずかに減額したが、欧州委員会の主張をほとんど支持した。そして、その法的根拠にはオープンソース開発者にとって巨大な障害となり得るものが含まれているという。

40億ドルの問い

「Web3企業がオペレーティングシステムやプラットフォームなどを開発した場合、(今回の)アンドロイド携帯に関する判決によると、プリインストールされたアプリは違法となる可能性が高い」とシュレペル氏は述べた。ただし、市場を支配するような企業規模であることが前提条件だ。

だがブロックチェーンのアンチトラスト問題を専門とする同氏によると、プロトコルのフォークを防ごうとしたり、フォークが発生した場合にそれを排除しようとするプロトコルにとっては、ハードルとなる可能性もあるという。

アンドロイドOSは理論的にはオープンソースだが、グーグルは自社が承認したソフトウェアを搭載していないスマートフォンには制限を課していた。

「プロトコルが成功してフォークを防いだ場合、その行為は反競争的と考えることができる。つまり、市場参入を妨害し、競争圧力を減らしたことになる。フォークの場合、介入し始めると問題になるので、自然と消滅することを願った方がよい」

裁判所によると、「たとえエコシステムの崩壊を防ぐための行為だったとしても、市場アクセスの制限は乱用にあたる」とシュレペル氏は述べた。

コード・イズ・ロー

暗号資産支持者の中には、Web3システムはどのように機能すべきかを法制化したり、訴訟を起こすことに異議を唱える人がおり、適用されるべき法律はプロトコルを支えるコードだけと主張している。シュレペル氏も、司法介入にはプラスとマイナスがあると指摘した。

「コード・イズ・ロー(中略)。しかし、コードには法律も必要だ。ブロックチェーンのコードは、一部のテック大手がブロックチェーン広告を禁止している事実に対して何もできない」

だがオープンソースシステムに追加要件を加えることで、裁判所は実際には開発者を表面上は競争促進的ではないモデルに向かわせるかもしれないと同氏は述べた。

「これが我々の望むヨーロッパだろうか。オープンシステムとは対極にあるクローズドシステムに肯定的なサインを送るヨーロッパを望んでいるのか疑問に思っている」

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Google’s $4B Fine May Threaten Web3 Protocols, Legal Expert Says