先週のビットコイン(BTC)の週足は10.7%上昇を表す陽線となり、2週連続で買われた。終値は311.2万円となり、4週間ぶりに300万円台を回復した。
週足は約2ヶ月の移動平均線となる8EMA(300.8万円)を上回り、強いプライスアクションが見られた。ビットコインは6月の安値から切り上げる底堅い値動きとなっており、徐々に買い需要の回復を示唆している。
一方、340万円近辺にはここ3カ月間のレジスタンスが存在し、上値が抑えられている。本格的な上昇トレンドはレジスタンスを超えてから始まるだろう。
長期目線では、昨年の高値から引かれた下落のトレンドが形成されている。週足は徐々にこのトレンドラインに近づいており、現在の価格水準が維持されれば、10月にはこのトレンドラインを試す展開となるだろう。このトレンドラインを突破できれば、長期的なトレンドの節目となる。
今週の相場は、前半に買われ一時320万円を突破したが、アメリカの消費者物価指数(CPI)が予想より上振れたことで株安となり、ビットコインも売られた。現在は290万円近辺で取引され、8EMAを下回った。今週の終値が移動平均線の下位で確定した場合、再び弱気な展開に警戒する必要がある。
ビットコインの日足は13日まで4日連続の陽線を記録し、底堅く推移していた。日足は4月以来となる一目均衡表の雲の上位でクローズしたが、13日に8.6%下落しテクニカルは大きく悪化した。13日の終値は291万円となり、短期の移動平均線(293.9万円)を下回った。一気に弱いプライスアクションに変わった。
ビットコインはここ数カ月間、250万円から340万円のレンジ内で推移しており、大きなトレンドが無い状態が続いている。今週の前半まではオシレーターのMACDもプラス圏で上昇しており、強気のモメンタムを示していた。
340万円のレンジを抜けることが期待されたが、昨日の下落で再度レンジの中盤近辺まで戻された。レンジを抜けるまで不安定な値動きとなりそうだ。
週足や日足は今週の始めまで強気のチャートを形成しており、モメンタムの回復を示していた。長期の下落トレンドを抜けることを匂わす動きが見られたが、火曜日に強く売られ、テクニカルは再度悪化した。まだ弱い値動きに警戒が必要な状況に逆戻りした。
今週は、アメリカの経済状況が現在の相場に大きな影響を与えていることが改めて示された。13日に発表された8月のCPIは、予想の8.1%を超え8.3%になったことで、FRBの利上げの長期化をサポートする結果となった。
株式市場も全面的に売られ、ビットコインもこれに引きずられる形となった。7月のCPIの8.5%からは小幅に下落しているものの、未だ高止まりしており今後も米経済指標及びFRBの金融政策の動向にもチェックが必要だ。
真田雅幸:ビットバンク(bitbank)マーケット・アナリスト──カリフォルニア州立大学で経済学を専攻し社会のお金の流れについて興味を持つ。大学在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankで業界に関する調査業務を行いながら同社のメディアで寄稿を行う。2015年冬頃からビットコインへの投資、トレードを徐々に始める。最近は基本的なテクニカルに加え、デリバティブ情報やオンチェーン情報も分析しながらトレードを行う。
|編集・構成:佐藤茂
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