イーサリアムブロックチェーンの大規模アップグレード、Merge(マージ)が完了し、GPUマイニングは終わりを迎えた。マージの数日後、あるグラフィックカードメーカーは過剰供給を予想して、カード製造から撤退した。
とはいえ、市場にはまだプルーフ・オブ・ワーク(PoW)ベースの暗号資産が存在する。ほとんどはCoinGeckoのトップページに掲載されているような時価総額の大きな暗号資産ではなく、ビットコインゴールド(BitcoinGold:BTG)やNeoxa(NEOX、時価総額400万ドル)、Cortex(CTXC)といったアルトコインだ。
上図は、中古GPUの価格、24時間あたりのマイニング利益、損益分岐月数などを示している。中古市場に100ドルで出回っているGeForce GTX 1060を使った最良のシナリオでは、カードの損益分岐月数は35カ月、つまりほぼ3年のマイニングで購入コストを回収できるとされている。
だが、この通りに行くことはないだろう。しかもこれらの数字は多くの仮定に基づいている。暗号資産にはラグプル(開発者による持ち逃げ)はなく、カードは故障せずに動き続け、暗号資産の価値は変わらないか上昇する。
さらに電力コストは含まれていない。電力コストを計算に加えると、話はさらに難しくなってしまう。
もし、それなりの価値のある暗号資産をマイニングしたければ、WhattoMineを使ってみるとよいだろう。ハッシュレートと電力コストに基づいてマイニングの収益性を計算してくれる。
人気GPUカードのGeForce GTX 1060は、イーサリアムクラシック(ETC)に使用されるアルゴリズム、Etchashのハッシュレート(演算能力)が23Mh/sとなっている。
だが数字を検証してみると、かなり厳しいことがわかる。GPUカード1枚を使い、電力コストをアメリカの1キロワット時あたりの平均である0.17ドルとすると、1カ月の利益は1.80ドル。つまり、損益分岐点を超えるには55.5カ月=4年半以上かかる。
カード100枚でハッシュレートが2300Mh/sなら、1カ月あたり182.6ドルの利益となるが、投資コストも大きくなる。
ASICと呼ばれるマイニングマシンでも極端な規模でない限り、計算はあまりうまくいかない。現在、個人マイナーにとって最も収益性の高いマイニングマシン、Bitmain Antminer L7は、1日あたり8ドルの利益を生み出しているという。
だが、上場しているマイニング企業の株式を保有した方が、より稼げるはずだ。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Whattomine
|原文:First Mover Asia: Bitcoin Sticks Near $19K; the Most ‘Profitable’ Mining GPU Makes You Back Your Money in 3 Years