ビットコイン(BTC)と米株式市場との相関関係が低下した一方で、ビットコインとゴールドの相関関係が急上昇したことに再び注目が集まっている。
この動きは、ビットコインはデジタルゴールドとして、本物のゴールドと同じようなメリットを持っているというビットコイン支持者の主張を後押ししている。だが相関関係は依然として緩やかで、ビットコインとゴールドが今後も同調して推移するかどうかには疑問が残る。
「暗号資産市場と株式市場にはわずかなデカップリングが見られ、その動きはビットコインとゴールドの相関関係の上昇に反映されている」と暗号資産データ企業カイコ(Kaiko)のリサーチディレクター、クララ・メダリー(Clara Medalie)氏は語った。
ビットコインは2万ドル超で推移し、過去7日間で約3%上昇、ゴールドは1700ドル付近で3%以上上昇した。
カイコのデータによると、ビットコインとゴールドの相関関係は先週、0.3を超え、1年ぶりの高水準となった。ビットコインとゴールドの相関関係は昨年末以降、0.2〜マイナス0.2の間で推移していた。
一般的に0.3はややプラスの相関関係、0.5は中程度の相関関係を示す。
今年、ビットコインはゴールドよりも大きく下落している。ロシアのウクライナ侵攻と、冬の終わりから春にかけての景気の落ち込みもビットコインをはじめとするリスク資産を下落させたとメダリー氏は述べた。
しかし、投資家が経済状況の変化の影響を受けない強固な地盤を探したことで、デカップリングは時間とともに弱まった。ビットコイン支持派は、ビットコインは経済的混乱の中で金融ヘッジの役割を果たすと以前から主張してきた。
「現時点では、投資家はもはやインフレに対するヘッジという利点を他のものに求めようとするのではなく、法定通貨が不安定であることが判明したときに資金を保持するための優れた代替手段を求めているだけ」とブロックチェーンベースのフィットネスアプリ、Fitburnの共同創業者アレキサンダー・ムーラー(Alexander Meurer)氏は語った。
ビットコインと株式
カイコは、暗号資産は第3四半期、伝統的資産よりも優れたパフォーマンスを示し、特にビットコインの約1%下落に対し、S&P500は5%、ダウ平均は6%、ナスダックは4%下落したと指摘した。
だがメダリー氏は、ビットコインとゴールドの相関関係の今後の推移を「判断するのは時期尚早」とし、現在の弱い相関関係をビットコインの低いボラティリティと関連づけた。
ビットコインは過去2カ月、1万9000ドル〜2万2000ドルの狭いレンジで推移し、世界が高インフレ、中央銀行のタカ派姿勢、景気後退の脅威に対処するなか、投資家の戦略を彩る警戒心を示した。
ByteTree Asset Managementの最高投資責任者、チャーリー・モリス(Charlie Morris)氏は、金融引き締め政策の中で米ドルが強さを増すなか、ビットコインとゴールドの相関関係は「通常より高い状態」が続くだろうと述べた。
「ドルが1985年以来、(購買力平価評価で)これほど強くなったことはなく、ある時点でFRBは抑制にうごくだろう。そうなれば、ビットコインもゴールドも好反応を示すことになる。ドル高が痛みをもたらしたように、ドル安は救済をもたらす」
モリス氏は、「2023年半ば、あるいはもっと早い時点で、ドルはもはや話題にのぼらなくなる」と述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Bitcoin’s Correlation With Gold Hits Highest Level in Over a Year