暗号資産(仮想通貨)エコシステムは分散化とは逆方向に向かいつつあるとモルガン・スタンレーは10月12日に発表したレポートで述べた。
基盤となるブロックチェーン自体は分散化されているだろうが、暗号資産規制が進むにつれて、ブロックチェーンの大部分を単一あるいは少数のクラウドサービスで実行する必要性は潜在的リスクになるという。
イーサリアムのノードの65%はクラウドサービスを使って運用されており、その半数はAWS(Amazon Web Services)を利用しているとレポートは指摘した。特定のサービス事業者が一部の参加者や暗号資産プロダクトの検閲を決定した場合、あるいはサーバーが長時間停止した場合、問題となる可能性がある。
暗号資産エコシステムは「基盤となる分散型ブロックチェーンに、数多くのアプリケーション、プログラム、サービス、企業がエネルギーを与えることで」進化しているが、モルガン・スタンレーは、エコシステムのある部分は分散型でなくなり、個々のサービスに依存するようになっていると述べた。
同行によると、「中央集権化は暗号資産市場の金融化の自然な進化」であり、驚くべきことではないという。しかし、新たな課題をもたらしている。
バリデーターの60%を4社が運用
先月、イーサリアムブロックチェーンがMerge(マージ)によってプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行。それ以来、取引はバリデーターによって承認されるようになった。バリデーターの60%はわずか4社によって運用されているとレポートは述べた。
イーサリアムコミュニティは、この中央集権化の問題を認識しており、解決策に取り組んでいる。
レポートはまた、最大手のDAO(自律分散型組織)も、中央集権的な企業に近づきつつあると述べ、DEX(分散型取引所)のUniswap(ユニスワップ)が最近、経営チーム、アドバイザー、予算管理を行う取締役会からなる財団の設立を投票で決定したことに触れた。
暗号資産市場は、規制に準拠し、ユーザーを引きつけるプロダクトが登場するにつれて、中央集権的な銀行に類似してきているとレポートは述べた。同時にTradFi(伝統的金融機関)は急速に暗号資産関連商品を発表していると指摘した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Morgan Stanley Says Crypto Ecosystem Is Becoming Less Decentralized